目指すは「みんなが幸せを実感できるゴルフ場」。若き3代目社長の未来や環境に前借りしない経営

ゴルフ、バーベキュー、フットゴルフ、ホテルと幅広い事業を展開しているのが、栃木県さくら市にあるゴルフ場「セブンハンドレッド」です。

元々はゴルフ場の運営のみでしたが、2年ほど前に息子への事業承継をきっかけに、さまざまな事業へ乗り出すようになりました。

今回はセブンハンドレッド3代目社長の小林忠広(ただひろ)さんに「世界一何でもできるゴルフ場」を目指す理由を聞いてみました。

父からの声掛けで事業承継が選択肢に

セブンハンドレッドは忠広さんの祖父の代から始まり、代々受け継がれてきています。創業の祖父および先代の父親である隆行(たかゆき)さんはゴルフ一筋で過ごしてきたのに対し、忠広さんはラグビー一筋の人生。事業に携わるまではゴルフは遊びでやったことがある程度で、接点はかなり少なかったと言います。

実際に学生時代は自分が家業であるゴルフ場を継ぐことは考えていなかったそうです。

そんなゴルフとの関わりが薄い忠広さんが事業承継を考えるようになったきっかけは、隆行さんからの「継いでみないか?」の一言でした。

ゴルフ場はさくら市にあるものの、社長一家の生活拠点は東京だったことから、業務の度に通勤していたそうです。しかし高齢により移動が負担になってきたことから事業承継を検討。学生時代からNPO法人を運営している経験を通して顧客目線を培ってきた忠広さんに、承継者として声かけをしたそうです。

とはいえラグビー一筋で過ごしてきた忠広さんにとってゴルフ場は分からないことだらけ。「商材」であるゴルフ場を知るために、まずはコース管理の仕事から携わることになりました。

ゴルフ一筋の父親から他競技で育った息子への事業承継

ゴルフ未経験だからこそ実際に仕事に携わっていくうちに今後の経営課題が見えてきたという忠広さん。コース整備の仕事に取り組んでいくうちにもっとうまく経営できるのではないか、と考えるようになります。

コース整備の仕事に携わり始めてから2年後、当時の社長であった隆行さんに経営についていろいろと相談していく中で、忠広さんは役員に昇格します。その際に「ゴルフ場だけでなく新しいことをやってみよう」と隆行さんに提案したそうです。

ゴルフ場がそれ以外の事業を展開している運営会社は現時点でもほとんどありません。そのためゴルフ一筋で過ごしてきた隆行さんは忠広さんの話を聞いて非常にビックリしたと言います。

隆行さん「最初聞いたときはもうビックリしたよ。何を考えているんだ、ってね。でもそうやって変化して事業を良くしていくのもいいんじゃないかなって思った」

ゴルフ場に新たにできたバーベキュー場

2021年現在のセブンハンドレッドはゴルフ場運営の他にバーベキューテラス、フットゴルフ、ホテル事業を展開していますが、これらはすべて忠広さんの就任後に立ち上げたものばかり。

「ゴルフの世界を知らない」からこそ閃いたアイデアを形にしていくことで、目指すのは「世界一何でもできるゴルフ場」です。

「ゴルファー以外の人にも楽しんでもらうゴルフ場」になっていく姿を見て

忠広さんへの事業承継を機に新しい事業が次々と生まれ、ゴルファー以外の人も楽しめるゴルフ場へとなりつつあるセブンハンドレッド。承継により会長へと就任した隆行さんはこの変化を見るのが楽しみなのだそうです。

隆行さん「(祖父から受け継いできた事業が)自分の代で途絶えてしまうのは寂しい。次の代へ継続して、変わっていく姿を見るのが今では楽しい。息子にはどんどんやってほしいと思っています」

実際にバーベキューテラスを設置してから、お客さんの中にはゴルフを楽しんだ後に家族と合流してバーベキューを楽しむ、という流れで利用される方も一定数いるとのこと。ゴルフに関わりのないお客さんにゴルフ場で楽しんでもらえていることに、忠広さんは手ごたえを感じたそうです。

忠広さん「(自分の立ち上げた事業で)お客様から『来てよかった』という声を聞いたときは、お客様の喜びを作れているなって達成感がありますね。」

「世界一何でもできるゴルフ場」を目指すために大事にしたスタッフとのコミュニケーション

隆行さんから忠広さんへ、ゴルファーからゴルフを知らない人へ事業承継がされたことで、セブンハンドレッドは大きく変わりました。それに伴い、働いている従業員さんに戸惑いは無かったのでしょうか。

忠広さん「戸惑いはやっぱりあったと思いますよ。いきなり新しい事業を立ち上げたことで、スタッフさんからすれば手間が増えるわけですし。ただ実際にお客さんが入っているところを見るとスタッフさんも『あれ、結構お客さん入ってる!』と。そこから良い感じになってきたな、というのはありますね」

先代社長から承継して、忠広さんが社長という立場で大事にしているのが、コミュニケーション。Slackでのスタッフ同士のやり取りやスタッフとの1対1の対話を通して、変化に柔軟に対応できるように意見を反映しやすい環境作りを目指してているそうです。

Slackではスタッフからのアイデア・新規事業案のシェア、業務連絡、クレーム等の情報共有をすることで、スタッフ同士の円滑なコミュニケーションを図っています。

またセブンハンドレッドでは定期的に、忠広さん自らがスタッフ1人1人と「なんでも話していい」面談を実施。スタッフが仕事中に感じていることや愚痴、そしてプライベートのことにまで話題が及ぶそうです。

忠広さん「好きなようにスタッフに話してもらうことで、円滑にコミュニケーションを取れるようにしています。その甲斐あって今ではスタッフが私に要求してくれるようになりました」

今まではスタッフから意見をもらうことがほとんどなかったとのことで、忠広さんは大きな進歩を感じているようでした。スタッフとのコミュニケーションを大切にすることで、新しい事業の立ち上げも円滑に進められているそうです。

ゴルファーだけじゃなく地域の人や環境にやさしいゴルフ場を目指す

セブンハンドレッドでは忠広さんを筆頭に「みんなが幸せを実感できるゴルフ場にする」というビジョンを掲げています。ここでいう“みんな”とはお客様・従業員・地域・環境など対象が非常に幅広いです。

特に忠広さんは地域とのつながりも大事にしており、昨夏ではコロナ禍により中止になりそうだった夏祭りを招致し、実行したそうです。

現在忠広さんがビジョン実現の上で感じている課題が、環境への配慮。SDGsをきっかけに環境問題がピックアップされている今、いかにして「未来に前借しない」ゴルフ場を運営するか、に直面しています。

忠広さん「『ゴルフ場は山を切り開いて作っているから環境破壊の上で成り立っている』と思われているが、実際にはゴルフ場でのCO2吸収量はそこらの森林よりも多い。丁寧に芝を手入れしていけば、環境にやさしい経営が実現できるはずなんです。

そして近年環境問題の代表各となっているゴミ問題、いかに出さない経営を目指していくか、そういうところにも着手していく必要がある」

「みんなが幸せを実感できるゴルフ場にする」このビジョンはゴルファーだけでなくゴルフをやらないお客様や地域の人、そして地球環境と対象が幅広いです。壮大なビジョンを掲げる若き社長の挑戦は、これからも続きます。

文:土田 嵩久

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