マンガ広告のパイオニア企業。会社と時代の未来を見据えた事業承継。

マンガ広告の制作やビジネス書のマンガ化をはじめ、マンガに関わる様々な作品の企画・制作を手掛ける株式会社トレンド・プロ。会社を設立した当初は「マンガ広告制作事業」という日本初の業態が注目を集めました。

その後も業界のパイオニアとして、「私たちは文章をマンガに変換します」を企業理念に、1,900社9,000件の企業や官公庁の課題をマンガで解決。現在では約2,000人の漫画家がトレンド・プロに登録し、マンガ制作に関わる依頼が殺到しています。

トレンド・プロが設立32年を迎えようとしていた2020年11月、代表取締役社長に岡崎寛之氏が就任。父親である岡崎充氏からの事業のバトンを引き継ぎます。

目指したのは、誰もが思いつかないビジネス

トレンド・プロは、もともと先代の充氏が1988年に起業しました。

充さん「起業のきっかけは、新卒入社した大企業の社風にパワハラ等の不条理を感じたからです。いざ独立したものの、最初は何を事業ドメインにするか試行錯誤しました。事業を検討していた時に、頭に浮かんだのは会社員時代のプレゼンです。資料にマンガのビジュアルを活用し、評判が良かったことを思い出し、それをビジネスに結びつけられないか考えたんです。

誰もが思いつかない、ユニークでニッチなビジネスを目指しました。多くのマンガ家とのネットワークを構築し、スタッフを拡充したものの、なかなか顧客に有用性を理解してもらえず苦労の連続。ところが広報や宣伝担当者向けの広告を出稿したところ大きな反響となり、マスコミでも取り上げられ、『イケる!』と確信を持ちました。

今ではマンガを活用して会社案内や広報、販促の課題解決をする広告マンガだけでなく、経済や科学、哲学などの難しいテーマをマンガにすることで、理解を高める書籍など、新ジャンルの編集も手掛けています」

設立30年を迎えて、考えた会社の進退

設立から着実に成長してきたトレンド・プロですが、創業者の充氏は「会社の寿命30年説」を創業時から考えていたと言います。

充さん「会社の寿命は30年。30年もの月日が経つと時代は大きく変わり、過去の延長線上のままで経営している会社には衰退、倒産の危機が訪れるとも言われています。現在続いている古い会社の場合、イノベーションを繰り返してきたからこそ、現在も健在なところが多いと思っています。経営者、特に創業者は自分ではすべてわかっているつもりでも長い時間が経つと、社員や世の中とズレが生じてしまいます。

自分、会社、後継者と考えた時に、創業者は『自分』に95%の重きを置きがちです。そのため、経営を引き継ぐと言いつつも、自分は会長や相談役になり後継者を社長にします。そして院政を引くことが多く、もちろん株は渡さない。欲しければ『自分』の言う通りにやれ!というプレッシャーの元、傀儡社長を作り『自分』の自己満足に浸るでしょう。

しかしそれでは上手くいきません。後継者と見込んだ人材がいるならある程度の猶予期間を設けて実務をやらせ、できれば早く事業継承すべきです。その場合は全株式を譲渡し、『自分』は身を引き、すべてを任せるべきだと思っています」

先代の充氏が言うように、30年経つと広報活動も大きく変化しています。インターネットの時代になり、マンガもスマホで読む時代に変わり、マンガ動画というコンテンツも人気が出てきました。さらにSNSの活用など、マス媒体が全盛だった創業時と大きく異なります。

時代への適性とタイミングにマッチした後継者を

会社を発展させるのに最適な人材が後継者になるべきという考え方を、先代の充氏は一貫して持っていました。

充さん「もともと創業以来、事業を子供に継がせる気はなく、そのように公言もしていました。理由は、子供が生まれた時から社長を引き継ぐことを宿命とすると甘えが出て、そして本人の可能性も狭めます。また引き継ぐ30年後、時代も会社も変化するから、引き継ぎたい会社かどうかわからないと思うんです」

親子承継にこだわっていなかった充さんが、息子である寛之氏に事業承継をしたのは、時代への適性とタイミングが大きく関係していたと言います。

充さん「そんな時、他の役員から『息子さんはどうか』と勧められました。次男はマーケティング事業会社に勤めていて、そのノウハウがトレンド・プロの発展に役立つに違いないということでした。私自身その意見には得心したため、次男に声をかけてみたんです。その時はまだ、複数の後継者候補の一人に過ぎませんでした」

若い世代を束ねるには年の近い若いリーダーが必要

事業を引き継いだ寛之氏は、マーケティング会社で働きながら、これからの広告のあり方を模索していたと言います。

寛之さん「トレンド・プロへの入社前は、マーケティング会社でやりがいを持って働いていました。ちょうど、父から声がかかったころ、私はこれからの広告のあり方を模索していた時期だったんです。

インターネットやテクノロジーが台頭し、広告業界の環境が目まぐるしく変化する中で、これからの時代に合った広告はなんだろうと。その問いを考える中で、『トレンド・プロのマンガを活用した方法にヒントがあるのでは』とひらめき、入社を決めました。2018年の8月のことです。

声がかかる以前、まさか自分が継ぐことになるとは夢にも思っていませんでした。子供の頃から父が会社を経営している姿に憧れて、継ぐのではなく自分で起業したいと考えていたのです」

トレンド・プロでは8年前から新卒採用をしていて、20代の若手社員が揃ってきました。先代の充氏とは年が離れていて、彼らを束ねられるのは、年の近い寛之氏が最適と考えたのでしょう。

寛之さん「入社前、実際に事業承継された先輩方の7人を訪ね、どのような振る舞いで挑めば良いのか相談しました。一つはできる人間として見せ、課題等を打ち出すべきか、一方ではバカだと思われても仲良くすべきか、どちらを選択すべきかと聞いてみました。

そして総合的に判断して、自分はスタッフを支援する立場でありたい、そのため仲良くしながら信頼関係の構築に努めたいと考えました。雰囲気づくりを優先したのです」

もっとも、社長になるまでは、あくまでもお見合い期間であり、双方で無理強いするつもりはなかったそうです。お互いが心から合意したうえで、社長になればいいという考え方だったので、入社当時は引き継ぎの時期さえ、未定でした。

社長交代によって刷新した、企業コンセプト

寛之さん「2020年の10月に社長になって、自分の方向性を打ち出すようにしました。それまでの『マンガの制作会社』から、マンガを使った『トータルプロデュース企業』になるという考え方です。最終目標は、お客さんがマンガ活用を戦略の中心において、事業を飛躍させるためのお手伝いです。

現代はインターネット環境を含め、市場は大きく変わっています。どのように達成できるか、その方法は多様化しています。そのため全体像をつかみながら、マーケティング志向を持ち、最適な提案を目指します。クライアントの成功をサポートするということを前提に、マンガを活かしたいのです。それを遂行するため、各部署に何をすべきかアイデアを練ってもらい、実務に落とし込んでもらうことを狙いました」

 

半年ごとに目標を立て、今年の4月までに全社員が理解してもらうよう、寛之氏はミーティングの機会などに働きかけをしているそうです。

寛之氏は「これまではトレンド・プロは営業がない革新性があります。しかしさらに成長するには、マンガとマーケティングをつなぐプロデューサーが必要です。そこで営業プロデュースを専門にする部署を立ち上げました。広い視野に立った提案できる部署にしたい」

若い世代が働きやすいよう、社風も率先して改革中

活動領域が広くなると、部署やチームで異なる目標ができる分、共通の指標が重要になってくると、寛之氏は語ります。

寛之さん「これまではクリエイティブなセンスや興味関心、直感を中心に会社の意思決定を下していましたが、今後はデータに基づいた指標を加え、会社の方向性を決めていけるようにしたいです。

また人事戦略にも取り組んでいます。トレンド・プロに多様性のある社風を作りたい。価値観の違いを認め合い、各自主体性を持ち、たとえ社長であっても間違っていれば、遠慮なく言い合えるようにしたいのです」

社員の7割が20代となったトレンド・プロ。

充さん「若い世代を中心に未来へ向けて会社を発展させて欲しいですね。願わくば社名のコンセプトになっている『どんなに小さくてもいい。日本初!日本一!』になれるマーケットを、自ら開拓していってほしいです」

株式会社トレンド・プロ

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