尾道で創業100年を超えるバケツ製造会社のレトロな機械を譲り受けたい人を募集!
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広島県東南部に位置する尾道市。山と尾道水道や島に囲まれた土地に、歴史ある神社仏閣が点在しています。そして昔ながらの雰囲気が残る町並や、尾道ラーメンなどのグルメで人気の観光地です。数々の映画の舞台にもなったことでも知られています。
そんな尾道市で、大正時代から続く薄板金属加工製品を製造する「内海製作所」は、2021年に廃業を決意しました。廃業にあたり、これまで使用してきた機械を譲渡する先を探しています。なお、譲渡先は譲り受けた機械を使ってバケツ製造をする方が前提です。
大正8年創業、生活に密着した金属製品を製造してきた
内海製作所は大正9年(1920年)に、現代表の内海隆司(うつみ たかし)さんの曾祖父が創業しました。2021年に廃業するまで、102年の歴史を誇る会社です。4代目の内海さんは学校卒業後、東京の自動車関連会社での勤務を経て、1971年から内海製作所で働くことになりました。
内海さん「内海製作所ではトタン(亜鉛メッキ)をはじめ、ステンレスや銅、真鍮(しんちゅう)などの金属を加工して、製品を製造しています。つくっているのは、おもに生活道具です。バケツをメインに、ジョウロ、墓石用の花立てなどが代表製品ですね。今は製造が減りましたが、米を保管する貯米缶や座布団を保管する座布団缶、衣装を入れる衣装缶なども製造していました」
内海製作所の製品(各種バケツ、ジョウロ、墓石用花立て)
バケツも1種類ではなく、小型から大型までさまざまなサイズのものを製造しています。フタ付きのものや、消火用のものなどもありました。近年では若い女性がインテリアとして購入したり、小物入れとして活用したりするなど、意外な使われ方もしているそうです。
内海さん「創業時は、尾道で2番目にできた金属加工の会社だったと聞いています。戦時中は金属が不足し、小型のものしかつくれなくて苦労したそうです。戦後になり、いち早く機械を導入し、生活に密着した金属製品を製造しました。そのころの機械は、今も現役で稼働しています」
長い歴史に幕を下ろす決意をしたが、まだ使える思い入れのある機械を残したい
100年以上の歴史をもつ内海製作所ですが、後継者不在のため、内海さんは廃業する決意をしました。そのときにのが、頭をよぎったのは、長年にわたり内海製作所で活躍してきた機械たちのことです。
内海さん「この機械を使ってきた職人たちは、みな良い製品を生み出してきた凄腕の方ばかりです。そしてどの職人も、機械の手入れをていねいにおこなっていました。メンテナンスや清掃など、本当に大事にしていたんです。だからこそ今でも十分使えますし、機械への深い理解から職人技ともいえる製品をつくることができました」
工場内にはさまざまな金属加工用の機械が並んでいる
実際に譲渡される機械は、バケツを製造する機械たちです。また、バケツだけではなくジョウロや花立てなどの、バケツ製造を応用した関連製品も製造できます。
内海さん「内海製作所の機械は古いですが、いまなお現役なんです。まだ使えるからもったいないというのももちろんありますが、それ以上に職人たちの魂や思いが詰まった機械をなくしたくないと思っています。それで機械の譲渡をしたいと考えました。有効活用をしてもらえる方がいれば、ぜひこの機械を使って製品を作り続けて欲しいんです。ですから、譲渡先はバケツを製造してくれる方が大前提ですね」
昭和20年代の機械はいまも現役で稼働中
戦後の時代から現在まで、製造の最前線で活躍している内海製作所の機械。内海さんに、実際に機械を使ったバケツ製造の工程を見せていただきました。
エンジンは1か所にあり、天井などに張り巡らされたベルトと滑車で、複数の機械に動力を伝えています。スイッチを入れるとブーンという音ともに、カラカラとベルトと滑車が動き出しました。
まず、金属を丸めてバケツの本体をつくっています(写真1,2)。次に使うのは、バケツの底をつくる機械です(写真3)。そして、バケツの本体部分に溝状の段差を入れていきます(写真4)。
内海さん「バケツに段差をつけることで、強度が増すんです。ちょっとしたことですが、重要な工程ですね」
次は、バケツの底部分に段差をつけていきます(写真5)。そして、細長い金属を使ってバケツの底の台の部分をつくり、バケツの底に取り付けます(写真6,7)。機械を使って、台とバケツをプレスして固定させます(写真8)。
最後にツル(持ち手)をつけるためのパーツを取り付けます。この作業は機械ではなく手作業です(写真9)。
ツルをつけたら、バケツの完成。なおツルの先の部分は、現在外側から内向きに取り付けられています。これは内海製作所が初めて行ったそう。それまでは内側から外向きに付いていたのですが、これだと引っかかって危ないという声を受けて考えたとのことです(写真10)。
ちなみに、内海製作所にはツルをつくる専用の機械もあります(写真11)。
内海さん「どの機械も戦後の時代、昭和20年代に製造された古い機械ばかり。機械をつくったメーカーも、現在では廃業されています。しかし、近頃の機械とは違って電子部品がないので、修理さえきちんとすれば長く使えるんです。いまでも性能はまったく衰えていませんよ」
内海製作所は、2021年末をもって営業を終了しました。今は得意先への製造と在庫の卸販売のみをおこなっています。そのため、機械の譲渡は材料がなくなって在庫もすべて販売したあとになる予定です。
内海さん「早くて2022年の8月ごろですが、おそらく令和4年いっぱいはかかると思います。来年に持ち越す可能性もあります。譲渡時期に関してはご了承願います」
長年にわたり職人たちが大切にし、いまなお第一線で活躍している内海製作所の機械。内海さんの機械への思いを受け継いでくれる方を探しています。
事業者情報
商号 | 内海製作所 |
所在地 | 広島県尾道市長江3丁目2−12 |
代表者 | 内海隆司 |
創業 | 1920年1月1日 |
業種 | 製造業 |
応募条件 | バケツ及び関連製品の製造に機械を使用してくれる方 |