事業承継ストーリー

継いだのは「お隣さん」。半年悩んで同ビル同フロアの取引先を承継し、広がった夢

宮崎の不動産売却・売買を取り扱う株式会社グローバル。後継者がおらず廃業を考えていた先代から事業を承継しました。

引き継いだ大野祐輔さんは、元々はグローバルと同じビルの同じフロアに、土地家屋調査士・行政書士の事務所を構えていました。不動産仲介と土地家屋調査。仕事を発注・受注する関係だった両者が一つになったことで、土地調査から不動産売買まで一括して受注できるようになり、大きなシナジーを生み出しています。

お隣の会社を継ぎ、新たな可能性を創り続ける大野さんにお話を伺いました。

「大野さん、やってみらんですか?」

大野さんが会社を引き継いだのは2018年。はじめは会社を承継することも不動産業を営むことも全く考えていなかったと言います。

大野さん「僕グローバルの隣にいたんですよ。事務所隣で仕事くれる側ともらう側という関係でした。5年前程前から先代が顧客の高齢化などを理由に事業を閉じようとしていて、グローバルの社員さんから“大野さん、やってみらんですか?”と誘われたんです。最初は“いやいやいや忙しいから無理です”って断ってました。今の調査士の仕事をしながら不動産をみるのは、時間も労力も不可能だと思っていたんです。


▲株式会社グローバル代表 大野祐輔さん

でも何度も口説かれて、半年ほどじっくり考えました。実は実家が不動産に少し携わっていたので、いずれは引退後に小さな不動産会社を作ってみようかなって想いもあったんです。法人化してメンバーが増えれば両方できるんじゃないかなと思いはじめて、やってみようかなと」

大野さんが継いでくれるならと先代の那須誠さんも快諾。元々知り合いということもあり、手続きもスピーディーに進みました。そして2018年12月、那須さんが相談役として残り、メンバーも残る形で新生グローバルが誕生しました。

相乗効果で、不動産売買が一気通貫で可能に

現在グローバルに在籍するのは宅地建物取引士、土地家屋調査士、行政書士。宅地開発の測量等から不動産調査、仲介まで、不動産売買に必要な手続きを一括して行います。土地家屋調査士が不動産業を包括して営むことは、全国的には増えてきているものの宮崎ではまだ少ない形態です。


▲宮崎では珍しい、一気通貫型の業態に進化

大野さん「調査士って圧倒的に土地の所有者と会う回数が多いんです。調査士の業務は土地の境界確認のために必ず立会いをします。僕も年間で400〜500人の土地所有者と会うんですよ。 するとだいたい言われるんです。売ってくれって。調査士はそれができないので、あぁすいませんって不動産を紹介するんですけど、うちは全部自社でできる。そこはかなり重宝してもらっていますね。元々調査士として信頼関係を築いてきたので、大手メーカーさんだと土地の取引まで任せてくれたりおもしろい動きも増えてきました。

不動産の仕事を自分で行い調査士の仕事も生んで、そこでグルグル仕事を回していけば、自分たちだけで仕事が回せます。最初から最後まで自分たちで仕事の組み立てが一気にできる。お客様にも迷惑かけないし、メンバーも休めるようになりました。まさに相乗効果です

先代は、“追いつかない”と思える人

2020 年 6 月には、調査士事務所を土地家屋調査士法人アスクリエイトとして法人化。承継するときに思い描いた形にようやく近づいてきたものの、最初は苦労も多かったと言います。

大野さん「理想と現実の歯車がカチっと合うまで2年かかりました。今振り返ると僕も反省するところが多いのですが、自分で事務所を持ってやっていた分どうしても自分の考え方や流儀があって。でも、グローバルにも同じように元々の社長がやっていたやり方がある。別に押し付けていたわけではないんですけど、両者のスピード感や時間の使い方の感覚を擦り合わせするのが難しかったですね」

そんななかでもホームページの改善など改革に乗り出した大野さん。先代で現相談役の那須さんからも刺激を受けています。

大野さん「不動産業界で相談役を知らない人はいないと思うんです。不動産に関して相当プロフェッショナルで知識もある。取引先も大きくて、どえらい会社を買ったしまったなって(笑)。そこまでキャリアを重ねても、相談役は自己研鑽がすごいんです。お客様のために勉強や研究を徹底的にやります。僕も調べる方だけどあの域には入っていないですもんね。“追いつかない”って思える人が会社内にいることはありがたいですね。

そんなすごい人がいても、承継していなかったら会社がなくなっていたかと思うとゾッとしますよ。」

事業承継が、未来への夢を膨らませた


▲今では、隣り合っていた2つの会社が統合され、一つのオフィスで働く

両者の事業が合わさったことでシナジーを生み出し続けるグローバル。大野さんは、事業承継したからこそ未来への夢をどんどん膨らませています。

大野さん「宮崎に“まち”を作るのが夢です。我々は職業柄ゼロから創り出す仕事はしないんですけど、でも何かできるんじゃないかなって勝手に思ってるんですよ。せっかくここまできたので、地図に名前が残るようなこと成し遂げてみたいです!

承継しなかったら大きい会社と取引することもなかったですし、ここまで大きな夢を持つこともなかったかもしれません。今更ながら継いでよかったなと日々思っています」

自身の資格も活かしつつグローバルの事業拡大に邁進し、宮崎を盛り上げるべくさまざまな夢をふくらませる大野さん。これからどんな新しいことが生まれていくのか、楽しみです!

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