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【副市長インタビュー】更なる「官民連携」で観光需要を支え続ける高山市

高山市は岐阜県北部に位置し、広大な飛騨地方の中心にあたる都市です。日本一広い市として知られており、その広さは東京都全体の面積にも匹敵します。「飛騨高山」と呼ばれる人気の観光地であり、江戸時代の趣を今に残す町並みや、風格ある祭り、そして豊かな自然が織りなす風景は、訪れる人々を魅了します。

2022年よりrelayと連携し、「relay the local 高山市」を共同運営している高山市。2024年には新たに、メッセージアプリ「LINE」を活用した事業承継情報の配信と、後継者不在状況や承継意向の把握ができる新サービスを試行的に実施しています。事業承継への取り組みに積極的な高山市の清水副市長へ、弊社代表取締役齋藤隆太がお話を伺いました。

話し手:高山市副市長 清水雅博様
聞き手:株式会社ライトライト 代表取締役 齋藤隆太

観光で栄えるまち、高山市

高山市 清水雅博副市長

──(聞き手)齋藤(以下、略):高山市はとても魅力が多いまちで、インバウンドをはじめとした観光客も多く訪れている印象です。そのような中で、事業者の廃業を耳にすることはありますか。

清水副市長(以下、略):そうですね。今はコロナが明けて観光客が戻ってきているので、事業者の方々は順調かなと認識しています。経営不振による倒産や廃業は、おかげ様でまだまだ他の地方と比べて少ないかなと思っていますが、一方で後継者がいないことによる廃業も一定数あり、今後も増えていくことが懸念されている、そんな状況かなと思いますね。

──高山市は事業承継への取り組みが活発な印象です。市として積極的に取り組む理由や背景を教えて下さい。

高山市は新幹線や空港もない、いわゆる不便な地方都市です。でも、先人たちが残した歴史遺産やグルメなど、人を惹きつける財産があるので、国内外から多くの方にお越しいただいています。高山市は官民一体で誘客プロモーションに取り組むなど、事業者と自治体がお互いに良い関係を築いてきたという歴史があるのです。

市長もインバウンドの第一線に立ってきたため観光業に理解があり、観光事業者ともコミュニケーションを築いてきました。高山市では観光客による年間の直接消費額が約1,000億円に上ります。これは高山市の強みなので、しっかりと守り、育てていく必要があります。そして稼いだ事業者さんから納税いただき、それが福祉、教育など全般的な市民サービスに使われているというサイクルをもっとご理解いただけるよう、発信していく必要があると思っています。

選択肢は親族承継だけではない

株式会社ライトライト 代表取締役 齋藤隆太

──観光客が多いため、その分受け入れる事業者も必要になると思っています。その中で、事業承継問題や危機感について感じる部分はありますか。

飲食業など、人気があっても後継者がいないために閉店してしまったような事例は確かにあります。そして、一度お店を閉めてしまうと、なかなか復活することはありません。廃業になるお店が増えるたび、町の財産をひとつ失ってしまったという想いです。

──事業承継は、これまで親族間での承継が当たり前でした。しかし、子どもがいない家庭や子どもが離れた土地で働いているという人も増える中、子どもに継げない=廃業と考える方は多いです。私たちは、第三者に引き継ぐことが当たり前になる世の中を目指し、さらにその中で「事業のリノベーション」を勧めています。時代に合わせて業態を変えていく必要がありますが、その中でもコアとなる部分の価値だけはしっかりと受け継ぎ、後を継ぐ方が生まれ変わらせてほしい。そのためにも、オープンな状態での事業承継を進めています。高山市といっしょに事業承継に取り組んでみて感じるのは、承継に対しての理解が深い事業者が多いという点です。観光客がたくさん訪れる中で、受け皿となる事業者の存在の重要性が共通理解として根付いていると感じています。

高山市の可能性と”オープンな事業承継”にできること

──続いてですが、市外の民間企業による高山市への進出事例もあると思います。高山市が選ばれる理由はどのようなものなのでしょうか。

民間企業による進出については、そこに利益を生み出せるかどうかが重要であると思いますが、特に高山に様々な可能性を感じていただいているからこそ進出に繋がっていると思っています。我々としてはその中でも、長らく官民連携を続けてきた高山市における観光の歴史や、大事にしている価値を理解していただける企業であってほしいと思います。全国を回っても、高山には他にない独自の価値があると思っているので、それを守るという意味でも大切だと思っています。

──高山の人たちが大切にしてきたものとは、例えばどのようなものですか。

例えば、日本三大美祭のひとつである「高山祭り」です。祭りに関わる人達は、何よりも自分たちの祭りを誇りに思っています。地域の先輩たちから受け継いで後輩に繋いでいくという、地域に対する強い想いがあります。

──ありがとうございます。我々のrelayを介して事業を受け継ぐ方は、小規模事業者や個人事業主が多いです。高山市との取り組みのように全国の自治体様と連携させていただくのも、例えば、地元にUターンする方による「0から起業するのではなく事業承継で既にある価値を伸ばしていきたい」という要望が増えているためという背景があります。高山市として、移住施策や移住者に向けて取り組んでいることはありますでしょうか。

一通りの移住促進、移住支援施策を取り揃えています。ただ、事業承継と移住を掛け合わせたような取り組みは今のところないですね。

──事業承継問題は、これまで産業振興系の課が担当するケースが当たり前でした。しかし、実はU・Iターンで移住して事業を譲り受けるという価値を私たちは実現しています。他の自治体では地域おこし協力隊として移住し、そのミッションとして事業承継に取り組むケースもあるほどです。移住促進と事業承継支援の管轄が別部署になっているために上手く連携できていない自治体様も多いのではないかと思うので、今後ぜひ移住支援と結びつけて取り組めると良いなと思っています。

高山を、もっと好きになって

──では最後に、副市長から見た高山市の魅力を教えて下さい。

最近改めて、高山市は住みよいまちであり、だからこそこの土地に愛着を持つ市民が多く、それが観光客にとっての魅力にも繋がっていると思っています。観光で高山を訪れ気に入っていただけたならば、また何度も足を運んで地域の人と交流していただき、高山をもっと好きになったらぜひ住んでいただきたいなと思っています。

──relayとしても、今後も高山市の事業者のみなさまのお力になれれば幸いです。本日はありがとうございました。

 

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