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【首長インタビュー】「住みたい田舎」ランキング上位をキープ。優れた技術や技能を次世代に引き継ぎ、持続可能な発展を

本州の端、山口県の瀬戸内海側にある宇部市。2020年版「住みたい田舎」ランキングでは第一位を獲得しており、 都市の利便性を利用しながら、自然に寄り添う田舎暮らしが実現できるまちです。

一方で、大きな課題となっているのは、経営者の高齢化に伴った後継者不在問題。2023年から「relay the  local 宇部市」を運営し、事業者の実態調査・訪問をしながら事業者の方々へのサポート支援を行っています。

令和2年11月に就任された篠﨑 圭二市長は宇部市の出身。地元であるまちの現状をどう見つめ、事業承継についてどのように考えているのかお答えいただきました。

話し手:宇部市長 篠﨑圭二様
聞き手:relay編集部

——(聞き手)relay編集部(以下、略):宇部市の特徴を教えていただけますか。

篠崎市長 (写真提供 宇部日報社)

篠崎市長(以下、略):宇部市は本州西端の山口県の南西部に位置し、気候も温暖で、自然災害も少ないです。市街地の近くに山口宇部空港があって、山陽自動車道宇部インターチェンジやJR新山口駅も近いなど、交通体系が充実した住みよいまちとなっています。

緑と彫刻に彩られた市街地から少し足を延ばすと、瀬戸内海の海と緑豊かな山が広がり、中山間地域と都市部のバランスがとれたまち。自然に寄り添う田舎暮らしをしながら、都市の便利さも享受することができます。

キワ・ラ・ビーチ(岐波海水浴場)

産業面においては、理工系を中心とした大学等の高等教育機関、試験研究機関の立地などの地域特性を活かし、「産・学・公・金」が連携し、医療・健康関連や、環境・エネルギー関連のほか、宇宙産業やDX(IoT・AI・5G)、バイオなどの次世代技術関連の成長産業の創出・育成に全国トップレベルの支援・サポート体制を構築し取り組んでいます。

また、所得や第1子の年齢に制限を設けない第2子以降の保育料の完全無償化や大型インクルーシブ遊具の整備など、子育て支援策の充実を図り、県内トップレベルの手厚い支援を行っています。

このような子育て支援を始めとする「移住サポート体制・移住支援の充実」や「空港をはじめとした交通の利便性」などが好評で、「住みたい田舎」ベストランキングで2020年以降上位をキープしているんです。

宇部移住計画
 

——街の事業承継の現状については、どのようにお考えでしょうか。

令和5年の山口県における後継者不在率は60.3%となり、以前と比べると減少傾向にあるんですが、これは依然として高水準です。本市においても、令和3年度に実施した「産業実態等アンケート」によると、経営者の年代が60歳以上では、後継者が決まっていない割合は6割強にのぼります。

スムーズな事業承継のためには、事業者が早い段階で後継者を確保し、計画的に育成していくことが、必要不可欠と考えています。そのためには、後継者のいない事業者が早めに事業承継に取り組むことの必要性を認識していただくこと、また、それぞれの事業者が事業承継を進めるうえで何を課題と感じているかを把握し、その課題に寄り添った対応をしていくことが必要です。

今後、人口減少や高齢化が避けられない中においても、地域の産業を維持、発展させるためには、みなさんの事業が後継者にきちんと引き継がれていくことを本市としても支援する必要があると考えています。

——このような状況で、今回relayと連携した理由を教えていただけますか。

relay(リレイ)は「事業承継をオープンに」を合言葉とし、事業者の魅力をオープンにして後継者を募集するという新たな事業承継の手法です。令和4年度からは、国の『地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業補助金』に採択され、全国の自治体と連携した実証が行われていますよね。

事業承継のマッチングは、これまでノンネームにより行われることが多かったはずですが、譲渡側の事業者がこれまで事業に向けてきた熱意やストーリーに焦点を当て、譲り受ける側にもその想いに共感を得てもらいながらマッチングに繋げていくという、リレイが手がける新たな手法は、譲り渡す側の選択肢が広がり、マッチングが成功する可能性が高まるものと期待しています。

また、今後、relayのサービスが全国に広まり、成約事例が積み重なることによって、オープンネームによる事業承継が具体的な解決策の一つとなって、後継者不在に悩む事業者が早期に事業承継に向けた取組に着手する機運が高まることを期待しています。

relay the local 宇部市

——ありがとうございます。事業者の方に篠崎市長からのメッセージをいただけますか。

宇部市の事業者が安心して事業を継続していくことは、本市のまちづくりにとっても非常に大切なことと考えています。そのために、後継者の確保について悩んでいる事業者はまず声を挙げてほしい。

宇部市では、事業者の相談に対応し、みなさまのニーズに合った適切な伴走支援へ繋げることができる窓口を用意しているので、活用してほしいですね。  

——宇部市の産業のこれからについて、目指しているものはありますか。

石炭産業から化学産業への転換によって成長と発展を遂げてきた宇部市にとって、強い産業の創出は宇部市の持続可能な発展に欠かすことができないものと考えています。

——最後に、いま事業を引き継ごうとしている方にメッセージをお願いします。

宇部市には、工業都市としての発展を支えてきた「ものづくり分野」において、これまで蓄積されている優れた技術や技能を持った事業者が多くいるので、このrelayのマッチングサービスや、本市が行っている移住者に対するサポート制度や事業者向けの各種支援メニューを活用して、ぜひ宇部市で新たなビジネスチャンスにチャレンジしてほしいですね。

──本日は、ありがとうございました!

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