事業承継ストーリー

事業承継で夢を叶える。会社員を続けながら「馬にく屋すっぽん」を引き継ぎ、魅力を発信

宮崎県延岡市の「馬にく屋すっぽん」は、馬肉とすっぽんの持ち帰り専門店です。現在店主を務める安部雄代さんは、2022年8月に会社員として働きながら、このお店を事業承継しました。

馬肉は熊本県から、すっぽんは大分県から直送で仕入れており、桜鍋や馬焼肉用の馬肉だけでなく、希少な特殊部位の馬刺しも販売するほか、飲食店への卸売りも行っています。

自分で事業をすることに関心があったサラリーマン時代

もともと大阪で会社員をしていた安部さんは、当時から自分で事業を起こすことに関心があったと話します。

安部さん「地元の工業高校を卒業した後に、大阪で就職をしました。会社員として働く中で、自分でも事業をやってみたいという気持ちが高まり、地元の延岡に帰ってきました。しかし、一人で新しく事業を始めるのは難しいと考え、一歩を踏み出せずにいたんです。

結局、延岡でも会社員として働いていましたが、『事業をやりたい』という気持ちはずっと変わりませんでしたね。自分の中で『何かやってみたい』という気持ちが強く、サラリーマンを続けながらでもできることを探している状況でした」

低脂質・高たんぱくの馬刺しを食べてトレーニング

延岡にUターンし、働き方を模索する中で、安部さんが馬肉に関心を持ったのはトレーニングがきっかけでした。

安部さん「引き締まった健康的な身体を競う『ベストボディ・ジャパン』という大会に出るために4年前からトレーニングをしていて、馬肉に興味を持ちました。トレーニングをする上で、食材にも気をつけるようになり、低脂質・高タンパクで、健康にも良い馬刺しを食事に取り入れるようになりました。2020年にこのお店ができた時も、『延岡に馬刺し屋ができたな』と注目していましたね。

もともとレバ刺しが好きなのですが、今はなかなか食べられません。ところが馬のレバーはそのまま食べられるんです。マイナス20度以下で冷凍すると、菌が死滅します。通常の馬刺しに加えてレバーも生で食べられることに感動し、いいお店だなと思っていました」

「はじめは事業承継に関心がなかった」

会社員として働きながら事業承継をした安部さんと先代の出会いは偶然でした。

安部さん「もともと先代がお店をされていたときに通っていたこともあったのですが、それとは別に居酒屋などでもお会いすることがありました。僕は延岡の出身ですが、先代は延岡出身ではなくて、『地元に戻りたいから事業を引き継ぐ人を探している』と話を持ちかけられました。

もともと、事業承継することにあまり興味はありませんでした。しかし、お店に通う中で、もっとたくさんの人に馬刺しの魅力を知ってもらいたいと考え、事業承継してみようかなと思い始めたところ、とんとん拍子に承継の話が進みました」

また、事業を引き継いだことで、今まで関わりのなかった人との繋がりができたそうです。

安部さん「このお店を引き継いでから、知り合った方がたくさんいます。取材をしていただいたりすることもあるので、メディアの方とも繋がりができました。政治家を志している方や小売業者との横の繋がりもでき、サラリーマンだけをしていたら、これほどいろいろな方とは繋がらなかっただろうなと思います」

馬肉やすっぽんを食べる文化を延岡の若い世代に広めたい


安部さんは、自分と同世代の人たちに馬肉やすっぽんを食べる文化を広めたいと話します。

安部さん「熊本や大分と比べると、延岡には馬肉やすっぽんを食べる文化がありません。また、持ち帰り専門のお店なので、なかなか手を出しづらいと思われている面もあると思います。

特に、若いお客さんがまだまだ少ないです。私は昔から馬肉が好きでよく食べていたので、同年代や、若い方にも食べていただけたらという思いで事業をしています。若い方に知ってもらうために、SNSでの情報発信に努めています。Instagramは若い利用者が多いので、お店の魅力を伝えるために頑張って投稿しています」

コロナ禍で飲食店を事業承継して

現在の悩みは、適切な仕入れの量が読めないことだとか。

安部さん「コロナ禍で客足の見通しがつかないので仕入れが難しいです。商品を仕入れて販売しているのですが、月によってお客さんが多かったり少なかったりするので、探り探りやっています。居酒屋さんへの卸しもやっていますが、コロナの影響で客足が途絶えることもあるので、在庫調整するのが大変ですね。

自分で事業をするのは初めてなので、悩むこともあります。しかし、父と兄と姉がそれぞれ自営業をしているので、相談に乗ってもらいながら日々頑張っています」

事業承継は0からではなく1からスタートできるのがメリット

初めて事業をはじめるにあたり、事業承継という選択をした安部さんですが、そのメリットについて次のように話します。

安部さん「自分で事業をゼロからスタートするのは、個人だと難しい部分が多いです。たとえば、仕入先を見つけたり、卸し先の居酒屋さんを見つけたりする必要があります。しかし事業承継の場合は、元々の取引先であったり、知り合いの方と繋いでもらうこともできるため、完全なゼロからではなく、1からのスタートになります。これは大きなメリットです。

ただ、どうしても先代の方と比較をされる部分はあります。ここは難しいですね。それでも、メリットが大きいと判断し、引き継ぎました。事業を自分で考えて、試行錯誤しながらやっていくのはとても楽しいです」

今後は日向など県北にもお店を展開していきたいと語ってくれました。会社員と両立させながら安部さんはどのような展開を見せてくれるでしょうか。「馬にく屋すっぽん」の今後が楽しみです。

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