高千穂町は宮崎県北部、九州山地のほぼ中央にあります。天岩戸、天安河原、くしふるの峰など神話の舞台と伝えられる地や神々を祀る神社が数多く存在し「神話の里」と言われています。豊かな自然も多く残り、パワースポットとしても注目されている癒しの地です。
全国にさきがけ2022年の早い段階からrelayと連携を結んでいただいた高千穂町長に、まちの魅力や課題点、事業継承サービスを導入するに至ったその思いや期待についてお話をお聞きしました。
話し手：高千穂町長 甲斐宗之様
聞き手：relay編集部
観光資源と一次産業の豊かなまち
──（聞き手）relay編集部（以下、略）：まずは、高千穂町の魅力を教えていただけますか？
高千穂町は、宮崎県内屈指の観光地です。観光地の主力は高千穂峡ですね。また、古事記や日本書紀に登場する神話の舞台、高千穂神社や天岩戸神社には多くの観光客が訪れています。農業としては黒毛和牛の生産に力を入れています。
子牛生産から肥育、枝肉出荷を地域で行っている「高千穂牛」というブランドは、高千穂を支える畜産農業の主力です。また、棚田で生産される棚田米やラナンキュラス、スイートピーなどの花も有名で、アメリカ、ニューヨーク、香港などにも輸出しています。夏秋野菜も盛んで、きゅうりやトマト、ピーマンやナスも美味しいですよ。
「観光地までの道のりも楽しめるまちづくり」で活気を取り戻す
──まちとして事業承継に関する課題意識はどういったものがありますでしょうか？
やはり一番は空き店舗が増えて、町の賑わいが減ってきているところです。少子高齢化、若者の県外流出もあり、特に商店街などの事業承継がうまくいっていません。観光客の方が訪れても、観光スポットには行くけれどその途中の町の通りにはあまり人が歩いていない状況があります。
町として観光消費額をあげるためには、観光地周辺の賑わいを創出することが必要だと考えています。そのために、市街地、特に神社を中心として「観光地までの道のりも楽しめるまちづくり」に力をいれているところです。町の活気が失われつつある今、町として目指したい方向と、飲食店などが閉まっていく現状とのギャップに危機感を感じています。
──首長として、理想の未来やまちに残していきたい産業や文化などはありますか？
農林業ももちろん必要な部分ですが、観光客の方のための飲食店、あるいは、お買い物が出来る場所を残して、活気あるまちとして維持できるような未来にしていきたいと考えています。今は閉まっているお店にも、ゆくゆくはもう一度新たな形で開店していただけることを期待しています。
「自分の代で終わり」だと諦めない文化を
──relayのサービスを一緒に使っていこうと思っていただけだ理由や、これからの活動に期待していることを教えてください
relayさんのサービスの魅力は、事業承継を希望する売り手の方の情報を公開できるところだと思います。高千穂には空き店舗になってしまっている場所がたくさんありますが、第三者承継という選択肢がまだあまり広く知られていません。住宅兼店舗として使われていることが多いため、事業をやっている方も、親族に継ぐ人がいなければ「自分の代で終わり」だと諦めてしまう方が多いんです。
でも、このサービスでは、売りたい方と買いたい方のマッチングがスムーズに行えます。こちらから情報を発信して、届けたい人に広く発信できることが最大のポイントだと思います。成功事例がどんどん出てくれば、第三者承継の認識も広がっていくと思うので、事業承継で悩まれている方に「こういった成功事例もありますよ」と伝えられたらと考えています。
自治体と手を取り合って仕事とまちを作る
──現在、事業承継を検討している事業者の方に伝えたいことはありますか？
住宅兼店舗として使われている場所が多くあるので、その店舗だけを第三者の方に使ってもらうという選択肢を提示していけたらと思っています。事業承継を考えるときにはまず商工会に連絡が入って、その後に役場との連携を取っていく流れになると思います。
その際に、relayさんでの事業承継サービスを提示できることは、我々にとっても大変有効なツールになると考えているので、商工会、役場、そしてrelayさんとの連携を上手く取り合って今後を考えていきたいですね。
──ありがとうございます。では、高千穂に来て一緒に町を盛り上げてくれる方に向けてメッセージがあればお伺いしたいです。
コロナ禍が落ち着いて、高千穂町も観光客が戻ってきています。しかし、依然として飲食店などについては不足しているので、飲食店関係にチャレンジしたいという人がいれば、ぜひお待ちしています。空き店舗もありますし、「何か自分で事業をやりたい」という夢を持っている方にはぴったりだと思います。
高千穂町としても、市街地を必ず通ってから観光スポットにたどり着くようなまちづくりをしている途中なので、そこに大きなビジネスチャンスがあると思っています。空き店舗利活用に関しては、改装費用や家賃の補助金もありますので、ぜひ活用していただいて、高千穂を新たなビジネスの舞台として選んでいただければと思います。一緒に商店街を盛り上げていきましょう。
──今日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。relayとしても、第三者承継に関するセミナーなどを実施し、オープンな事業承継の文化を育んでいきたいと思っております。高千穂町の町の活性化のため、連携して進めていけたら嬉しいです。
