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【担当者インタビュー】歴史を汲みつつ文化を醸成する臼杵市。その文化を受け継ぎつつ新たなチャレンジを

大分県南東部に位置する臼杵市は、大きく海側(臼杵)と山側(野津)に分かれています。年間を通して、日照時間が長く、温暖な気候が特徴です。加えて、味噌や醤油を中心とした400年以上続く醸造業や質素倹約の中で生まれた郷土料理、有機農業、地産地消の推進など、豊かな食文化が盛んな地域です。

市街地では、臼杵城下の往時を感じさせるまち並みと地元民がこよなく愛する商店街が密接しており、古き良き時代の雰囲気や地元に根付いたお店を楽しむことで、地元民は日々の生活を充実させています。その一方で、高齢化や人口減少の波には逆らえず、中心市街地を中心に飲食店などの空き店舗が目立つようになりました。そのような状況から2023年度より「relay the local 臼杵市」の取り組みを開始しました。

今回は、事業承継、創業支援などの窓口である臼杵市役所産業観光課の佐藤政策監に、まちの魅力や将来の展望について伺いました。

話し手:臼杵市役所 佐藤一彦様

聞き手:relay編集部

醸成されてきた食文化のバトンを今につなぐまち

臼杵市 佐藤一彦政策監

——(聞き手)relay編集部(以下、略):臼杵市の魅力を教えていただけますか。

佐藤さん:臼杵市は、生活と密につながった産業が発展してきた地域です。地下水が豊富で、江戸時代から味噌や醤油、お酒といった醸造文化が醸成されているエリア。また質素倹約の文化で、黄飯やきらすまめしなどといった郷土料理も今に伝わります。

また10年以上前から、住民の食の健康を考慮した有機農業を推し進めてきました。学校給食においても、全体の24%ほどがオーガニックの野菜。住民、自然、食、すべてが臼杵の中でぐるぐると回る循環をつくっていくことが目標です。これらの食の歴史と取り組みが評価され、2021年には、日本で2都市目となる「ユネスコ創造都市ネットワーク」(食文化分野)への加盟認定を受けました。

臼杵市名産のふぐ

——循環できる仕組みづくりが進められているんですね。市街地のまち並みなどはいかがでしょうか。

佐藤さん:そうですね。市民のみなさんには、臼杵という地域への誇りをより感じてもらいたい。そのための意識の醸成の取り組みでしょうか。

まち並みに関して、中心市街地は、臼杵城下町の名残もあり、石畳や武家屋敷の様相が残るエリア。それらに隣接するように、飲食店や商店が並ぶ商店街のエリアがあります。江戸時代からの醸造文化があるように、市内には古くから残る事業者さまも。そして、観光客はもちろん、特に地元民に愛される飲食店や商店が多くあります。

二王座歴史の道

市街地に賑わいを取り戻す。事業を残したい方の想いを広げる役割を

——臼杵市における事業承継の課題を教えてください。

佐藤さん:課題はやはり、人口減少、高齢化による後継者不足。城下町の趣のあるまち並みで、地元に根付いた飲食店などが残ります。私たちとしては、この雰囲気や佇まいを残していきたい。しかし、多くのお店で、後継者がおらず、地元民が愛してきた味や技術が途絶えてしまう例もでてきているのが現状です。私も行きつけだったお店の味が楽しめなくなることにショックを受けたことも。後継者が決まっても、双方の想いをうまくつなげられない例もありました。もっとバックアップできることがあったのではないのかと考えることもあります。

ほんまもん農産物

——そんな状況で、今回relayと連携を決めた理由はどういったところだったのでしょうか。

佐藤さん:まず期待していることは、やはり拡散力。私たちだけでは、思うように広がっていかない。臼杵市や大分県だけでなく、全国に発信しているので、いい情報を、届けるべき人に届けられるのではないかという点が決め手の一つとしてあります。

もう一点は、承継者と事業者をうまくつなげられること。前述したように、双方の想いがうまくかみ合わなかったこともありました。お互い想いがあって決断していることなので、すれ違うこともあると思います。そこにワンクッションあることで、伝えきれなかった想いやお互いのバックグラウンドなど、2人のコミュニケーションだけでは見えない部分を伝えられる可能性が上がるのではないかと考えています。

移住や創業支援、補助金も充実。希望を持てるまちへ

臼杵祇園まつりの神輿

——移住を含め、事業承継に伴う市のサポートはどのようなものがありますか。

佐藤さん:臼杵市は、宝島社が毎年行う「住みたい田舎ベストランキング」において、6年連続で上位にランクイン。市としては、新たにまちに来る方や事業を始めたいと考えている方への支援を豊富に準備しています。創業のフォローアッププログラムを組んでいたり、住宅の補助金や子育て支援も行っています。移住を決めかねている方には、お試しハウスに入居して、一定期間臼杵での生活を体験してもらったりすることも可能です。

移住や創業支援、補助金も充実。希望を持てるまちへ

臼杵市 佐藤一彦政策監

——後継者問題に悩む経営者、事業を譲り受けたい候補者へ向けてメッセージをお願いします。

佐藤さん:もともと貿易が盛んだった過去もあるので、外部からの受け入れには柔軟な風土があります。臼杵に来る方が、希望を持ってこられるように体制を整えていきたいですね。少しでも気になる方がいれば、気軽にご相談してもらえればと思います。一つでも多くの事業者と後継者をつなげて、趣と活気のあるまちを維持していきたいですね。

——最後に、佐藤さんが描く臼杵市の未来をお聞かせください。

山車

佐藤さん:臼杵市は移住者の方や、新しい文化を受け入れる力は特徴的かと思っています。私も含めファンとなっている飲食店を営む方、市民の健康を意識した有機農業を営む方が多くいらっしゃり、そんな皆様が臼杵市の魅力を作っていただいていると思っています。このような地域の魅力を守り、後世に引き継ぐことによって、市民が住んでいるまちに自信を持てるようになると良いなと思っています。そのためにrelayと一緒に後継者問題の解決に向けて精一杯取り組んでまいります。

——今日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

※参考リンク:https://www.city.usuki.oita.jp/article/2023051600010/

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