
2023年3月、新潟県新発田(しばた)市の商店街で90年以上愛されてきた「杉崎茶店」が、その長い歴史に幕を下ろしました。新発田市に住む人なら知らない人はいないと言われる同店の看板商品「スギサキのアイス」は、店内で手作りするオリジナルのアイスで地域に愛され続けた名物の一品です。
惜しまれつつ閉店した「杉崎茶店」ですが、名物のアイスを「次世代に残したい」という想いを持った後継者が現れました。新発田市の120年以上続く老舗和菓子屋「寿堂」の4代目、鈴木健太郎さんです。寿堂は創業明治38年、城下町新発田で長年愛されてきた老舗和菓子店です。
鈴木さんは「杉崎茶店」のアイス部門の事業を引き継ぎ、新発田の「スギサキのアイス」の製法とパッケージのデザインをそのまま譲り受け、「寿堂」で販売を行っています。
幼い頃から大ファンだった「杉崎茶店」の閉店を知り、自らが後継者に立候補したところから始まった、事業承継物語についてお話を伺いました。
子どもの頃からの「スギサキ愛」を語り続けた
危機感があった…地元で有名な和菓子店が事業承継に乗り出した理由
「スギサキのアイス」ファンからの温かい声
「寿堂」にアイスを買いに来る「スギサキファン」は多く、市外や県外からも訪れます。中には50個、60個とまとめ買いし、保冷バックとドライアイスを準備して来店する熱心なお客様もいます。
鈴木さん「アイスを50個、60個購入する方もいて、保冷バックにドライアイスを詰めて来てくださるんです。だから「私よりもよっぽどスギサキ愛があるな」と感心しています(笑)。そんなお客様から「引き継いでくれてありがとうね」と言われると、本当に嬉しい瞬間です」
お客様からの声は製造スタッフにも伝え、チーム全員でその喜びを共有しているそうです。
地域を未来につなぐ挑戦
鈴木さんと杉崎さんが話したのは、「今回の事業承継が成功すれば、他の地元の店も『うちもやろう』と思えるかもしれない」ということ。
鈴木さん自身、馴染みのラーメン屋が閉店する寂しさを経験してきました。今回の事業承継が良い例になれば、新発田の街もさらに発展するのではと期待しています。
子どもの頃からの思い出の味を次世代へ繋ぐ決断をした鈴木さん。今後、彼が新発田をどう盛り上げていくのか、目が離せません。