成約案件インタビュー

【成約事例インタビュー】 11棟のビニールハウスで育てるのは、花とレモンと、農業の未来! 60年以上続く花卉生産農家の事業承継

新潟市秋葉区にある花卉(かき)生産と卸を行っている「佐藤香樹園」は、2023年1月16日に事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」を通して後継者募集をスタートしました。

約1ヘクタールの敷地に11棟のビニールハウスがあり、観賞用の薔薇や菊、柑橘類の苗木を生産し卸販売を行っている「佐藤香樹園」を承継したのは、群馬県で自動車販売を行っていた木村隆明さん。

花卉生産や販売の経験はありませんでしたが「植物に関わる仕事がしたい」と考えネット検索をしていたときrelayで「佐藤香樹園」の募集記事を見つけたと言います。

オープン形式で承継者を募集したことで結ばれた2人の縁。事業承継のきっかけや承継後の様子、未来への展望について譲り手の佐藤克行さんと継ぎ手の木村隆明さんにお話しを伺いました。

譲渡者:佐藤克行様
承継者:木村隆明様
聞き手:relay編集部

菊花や薔薇、柑橘類の鉢植えが育つ11棟のビニールハウス。農地と設備を無駄にしたくない

――(聞き手)relay編集部(以下、略)まず、事業の承継を検討されたきっかけをお聞かせください。

(譲渡者)佐藤克行様(以下、敬称略):年齢ですよね。何年か前に病気をして。その後も年をとっていきますし。この先もし自分が事業に携われなくなったら、今ある農地や設備を遊ばせておくことになってしまう。それで、事業を引き継いでいってくれる人がいるなら譲りたいと考えた。

――今回、relayで後継者募集をされた経緯を教えてください。

佐藤:最初は町の商工会に話をしました。その後、県の支援センター(新潟県事業承継・引継ぎ支援センター)の方からrelayを紹介してもらいました。

――オープン形式での募集への抵抗感はありましたか?

佐藤:ありませんでした。私のプロフィールと写真をオープンにしてもいいですか? と聞かれましたが、全然問題なかったですよ。

――周囲からの反響はいかがでしたか?

佐藤:それほど注目されていないかな? と考えていたのですが、友だちや知り合いから「記事見たよ」と言われて、見ている人は見ているんだなと思いました。

やりたいことは決まっていたけれどイチからやるのは非常に労力がともなう。3年間探し続けた承継先

――承継された木村さんにお話しをお聞きします。今回、佐藤香樹園の事業承継募集をどこで見ましたか?

(承継者)木村隆明様(以下、敬称略):relayの記事です。植物にかかわる仕事がやりたいと思い、3年くらい前からいろいろな所を探していました。

――結構前から情報収集されていたのですね

木村:そうですね。40歳すぎたら植物にたずさわる仕事をやりたいと考え調べていました。自分でイチからやるのは非常に労力がともなうので、耕作放棄地や何か跡地とか活用できないかと。そんなとき、佐藤香樹園の記事をrelayで見て「これだ!」と思いました。

――もともと農業関係のお仕事をされていたんですか?

木村:いえ。自動車販売の仕事をしていました。農業は未経験ですが、群馬県みなかみ町にある実家では父親の代まで兼業農家として稲作や養蚕もやっていました。田んぼがあって桑畑があって。稲刈りを手伝ったり、養蚕で蚕に触れたり、山が遊び場でした。そういった経験が今に活かされていると思います。

――佐藤香樹園を選んだ理由はなんですか?

木村:佐藤さんがやっている事業、鉢植えに魅力を感じました。佐藤さんがやっているのは切り花じゃないんですよ。僕がやりたかったのは切り花ではなくて鉢植え。鉢植えって、室内でも玄関でもベランダでも庭でもどこにでも置けるので、いろいろな活用方法があると思うんです。佐藤香樹園さんの募集記事を見たとき、一気に頭の中に今後のイメージがバーッと出てきました。

植物を育てながら、譲り手と継ぎ手、承継の思いも育っていった

――お二人の最初の出会いについて教えてください

佐藤:木村さんから最初は事業を経験したいということで話をもらいました。木村さんは自動車販売の会社に勤めながら、休日を利用して群馬から新潟に来て、うちの仕事を経験していたわけですよ。遠くから通ってくる様子を見て「よっぽど植物が好きなんだろうな」って思っていましたね。

木村:隣の県ですしね、そんなに遠いとは感じませんでした。車に乗りながらいろいろ景色や町なみを見て、途中で寄り道をしてラーメンを食べて、めっちゃ楽しかったです。

――佐藤さんが木村さんに「引き継ごう」と決めたきっかけは何ですか?

佐藤:木村さんが新潟に居を移す、少し前くらいかな。

木村:佐藤さんのところに4~5回経験しに来て、その間、他の方を交えて話をしました。それで、2023年の秋くらいに事業承継しようという話になりました。

佐藤:それじゃあということで、木村さんは自動車販売の会社を退社することを決めて、2024年3月からここで作業をスタートした。その前に、新潟に住むためのアパートを決めたのかな。2023年の秋くらいに承継の話が固まった。

――引継ぎはどのような形で行われているのでしょうか?

木村:引継ぎはこれからで、動き出したという感じです。佐藤さんに教えていただきながら、昨年春からひと通りやって流れはこんな感じだなって。

佐藤:3~4年、一緒にやっていれば、だいたいの流れはわかりますね。

――これからも、二人で一緒に作業を行っていく予定なんですね? 心強いですね。

佐藤:そうそう。

木村:はい。いきなりいなくなられたら困ります。一番相談しなければいけない方なので。

ストーリーを作って、今後の販売展開につなげていきたい

――佐藤さんは、佐藤香樹園をこうしてほしいといった要望や願望はありますか?

佐藤:基本はいい品物を作ってほしいということ。まず技術を習得してもらって、その次に販売の方法ですね。今まで取引きしていただいた方々を大事にして、さらにインターネットなどを活用して販売してもらえたらいいかな。

――木村さんも、佐藤香樹園をこうしていきたいなとか、想像していることはありますか?

木村:佐藤香樹園は客観的に見ても良品質なものを作っていると思います。良質な物を直接お客様の手元に届けて、利益を上げていくような仕組みを作りたいです。そのためには、鉢植えの植物をどんな風に活用するか。どこに置いてどう育てて、どう活用するかを、購入者の方に提案していきたいと考えています。自宅のリビングにレモンの鉢植えを置いて、レモンが実っていたらいいじゃないですか。育ててレモネードを作りませんか? といったように提案していくといいかなって。

佐藤:そういうストーリーを作ってさ、展開していくといいと思うんだ。

――そんなことを、お二人で話をしているのですか?

木村:今年からですね。去年は見るだけ。余計なことは言わないで、佐藤さんに言われた通りにやっていました。文句なんか言わないですよ(笑)。やれと言われたらなんでもやってみる。それで、手の空いたときにいろいろ調べたり人の話を聞いたりしながら、今度どうしていこうかなと計画をしています。僕、結構、慎重なんですよ。

これから先、農業をやりたい! という人が増える流れを作りたい

――佐藤さん、今回relayで募集をしていかがでしたか?

佐藤:よかったです。早く発信できましたし、オープンにして事業承継した結果、木村さんのような意欲あるいい方と巡り会えましたしね。

――木村さんは、オープンネームでの募集をどう思いましたか?

木村:オープンにしている方が信用できるという感覚を抱きます。どんな事業をやっているのか、事業所のある場所はどこかなど考慮しますが、どのくらいの規模でどんな内容か。でも、relayで記事を見ただけでピンときた。「これかな!」って、ワクワクしか見えなかったです。

――引き継いでみていかがでしたか?

木村:よかったしかないですね。自分でイチからやろうとしたら初期投資や経費がどのくらいになるか。まず用水路出します、地面に水道通して、それぞれホースから水が出るようにして。ビニールハウスも一棟一棟新品を建てていたら計算すればどのくらいお金がかかるか。初期投資の差は大きいと思います。

佐藤:自分で空き畑を求めてからスタートすると大変だね。

――作業面でイメージと違ったなというのはありますか?

木村:他のことよりは、体への負担が低いほうかなと思います。果樹園を手伝うとか、田んぼの作業もしんどいんで。それに比べたら、全然そういうのは少ないので。

佐藤:具体的にはそんなにしんどくないよね。

木村:はい。それは本当に想像していたより、体への負担は低いので。より低くする方法もあると考えています。学生さんのバイトがここに来たって、全然いいと思います。インスタグラムなどSNSでどんどん繋がってもらって、世の中にもっと花卉生産について知ってもらって。農業をやりたい人が増える環境も同時に作っていきたいと思っています。あとは自分が楽しみたい、これが一番大きいですね。

――素敵なお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。

事業承継を決めたときrelayのインタビューで佐藤さんは、よい花卉を作るために必要なのは「ひとつひとつの作業に適したタイミングを逃さないことであると語っていました。それを知らないと時期を逃してしまうと。

relayの記事が木村さんの目にとまったのは、佐藤さんがオープンネームで募集を行ったのがきっかけです。そこから2人の希望が重なりマッチングした、佐藤さんの育てる植物のように花が咲いて実がなった今回の事例。

佐藤香樹園の販売展開や、農業を通じて若い人とどのような繋がりが生まれていくか今後も楽しみです。

この記事をシェアする

事業承継情報をお届けする
メールマガジンを登録しませんか?

公募案件のご案内や事業承継の事例インタビューなど、
relayならではの最新情報をお届けします。お気軽にご登録ください!

利用規約 および プライバシーポリシー に同意する

後継者をお探しの方へ

relay なら、事業主さまの想いを大切に、安心して後継者探しができるよう、 募集から成約までを秘密厳守で全面サポートいたします。

詳しく見る
succession-logo