成約案件インタビュー

【成功事例インタビュー】飲食店未経験から承継と移住を決意。「ご近所の方のためのお昼をまかなう」という思いを継ぐ

2022年12月、鳥取県倉吉市の白壁土蔵群近くにあるお食事処「天厦同人(てんかどうじん)」を、当時岡山県に住んでいた阿出川直樹さんが”第三者事業承継”の形で引き継ぐことになりました。

阿出川さんは、鳥取県とrelayが連携して事業承継や移住をサポートする「relay the local 鳥取県」を通じて事業承継を実現。

その後、「天厦同人」を「デリカリカフェ」としてリニューアルし、2023年7月に新たなスタートを切った阿出川さんは「住んだことのない土地へ移住することや、未経験である飲食店オープンの不安は小さく、むしろワクワクすることばかりだった」と、笑顔で話します。

はじめての場所への移住や、未経験である飲食店の開業に踏み込んだ阿出川さん。承継前の不安や、引き継いだ後のギャップなどはなかったのでしょうか。事業承継の経緯やきっかけ、承継後の様子を伺いました。

承継者:阿出川 直樹 様
聞き手:relay編集部

趣味のアウトドアやカレー作りがきっかけで決めた承継と移住

ーー(聞き手)relay編集部(以下、略):事業承継を考え始めた経緯を教えてください。   

(承継者)阿出川直樹様(以下、敬称略):「鳥取県に移住しよう」という気持ちが最初ですね。移住を検討し、市役所の移住定住相談係に行きました。

飲食業にも興味があったため、「移住だけでなく、飲食店の開業をするチャンスもあるかも」と考える中でrelayを紹介され、事業承継に興味を持ちました。

インタビューに応える阿出川さん

ーー鳥取への移住に興味を持たれたのは、事業承継を検討されるよりも先だったんですね。鳥取移住を考えるようになったきっかけがあったのでしょうか。

阿出川:一番は鳥取の自然の豊かさや食の魅力に惹かれたことです。東京に住んでいた頃からアウトドアが趣味だったのですが、数年前に岡山へ移住して自分の時間が増え、より趣味の時間が取れるようになりました。

その中で何度か鳥取を訪れ、移住することを本格的に考えるようになったんです。また、カレー作りも趣味の一つで、もう16年ほど続けています。

「ご近所の方のためのお昼をまかなう」譲渡者の真摯な思いが決め手

ーー承継先として「天厦同人」を選ばれたきっかけや惹かれたポイントはなんだったのでしょうか。

阿出川:オーナーをされていた山本さんの志に心を打たれたからというのが一番の理由です。山本さんは「高齢化されたご近所の方のお昼をまかなおう」と、天厦同人を始められたそうで、この思いに共感しました。「地域の方のために」という思いは、今後も受け継いでいきたい部分です。

天厦同人にて 左:継ぎ手の阿出川さん 右:渡し手の山本さん
左から、承継者の阿出川さんと、譲渡者の山本さん

ーーご近所の方の反響はいかがでしょうか。

オープン当初はメディアにも出させていただいて、市外の方が来てくださることも多くありましたが、最近はご近所の方やリピーターさんの来店も増えています。最初に考えていた「ご近所の方のお昼をまかなう」部分に向かっていっているところですかね。

コミュニティから広がった縁で生まれた「カツカレー」

看板メニューのカレー

ーー阿出川さんは、鳥取県とrelayが連携する事業承継や移住の支援事業「relay the local 鳥取県」を利用されての承継者第一号でしたが、支援体制はいかがでしたか。

阿出川:開業の段取りや補助金のご案内など、大変親身に対応していただきました。relayの担当の方や倉吉の商工会議所の方などに架け橋になっていただいて、繋がったコミュニティもあります。

倉吉には移住された方々が多くいらっしゃって、移住者が集まる会や地域のコミュニティに参加することで、横のつながりができました。情報交換ができる場があるのは本当に助かります。

ーー交流できる場があるのはいいですね。

阿出川:そうですね。人の繋がりができたことは、移住する者にとって本当に大切なことだと実感していますね。地域のコミュニティでトンカツ屋さんのオーナーと仲良くさせていただいて、うちのカレーとトンカツでコラボレーションしたカツカレーを何度か出したりもしました。

いきなり知らないコミュニティに飛び込むというよりは、架け橋となってくれる方と出会えたのが大きかったかな。移住や承継する上で、もちろん自分で積極的に動かないといけないことは間違い無いですが、今後移住や承継を考えている方も、コミュニティやイベントに参加して、横のつながりができるといいのではないかと思いますね。

かわいいイラストの旗が立つ玄関

飲食業未経験でも不安よりワクワクが勝った

ーー飲食業は未経験とのことですが、事業承継前の不安はありませんでしたか。

阿出川:新しいことをするワクワクが大きく、あまり不安は感じませんでした。「天厦同人」さんから承継した店舗や設備等をほとんど居抜き状態で活用させていただきましたが、通常ですと店舗探しや内装工事が必要ですよね。その点、かなり資金が抑えられていると思います。

心配事を感じなかったのは、relayを教えていただいたり、補助金の案内をしていただいたり、間に立ってくださる方の協力があったからかと思います。市役所の方や商工会議所の方、relayの担当者の方のサポート体制が手厚く、不安よりもワクワクが勝ったという思いです。

新しく導入したコーヒーメーカー

ーー承継後の苦労や、承継前とのギャップなどはいかがでしょうか?

阿出川:ここは繁華街というわけでもなく、人通りは少なめなので、集客をする仕掛けはこれからさまざまな角度で行おうとしているところです。苦労というより楽しみでもありますね。そういった部分の努力は必要かなと思います。楽しみながら仕掛けをつくっていきたいですね。

集客について言うと、当初はX(旧:Twitter)で情報発信を行なったり、Googleマップに情報を載せたりしていましたが、最近はInstagramを始めました。Xはどちらかというと地域の方がよく見てくださっているようです。Instagramは市外や県外からのお客様に知っていただけたらなと思います。

店内の様子

地域の方が散歩の途中でふらっと立ち寄れる場所にしたい

ーー今後どういった方々に来店していただきたいですか。

阿出川:この間来店されたお客様で韓国の方がいらっしゃいました。どなたかのインスタグラムの投稿をご覧になったそうです。SNSの可能性を感じましたし、海外とのつながりができるともっとおもしろく楽しくなっていくのではないかと期待しています。

所々にあるかわいいイラストも特徴的

ーーご近所の方にはどのようなアプローチを考えていますか。

もちろんご近所の方には来ていただきたいですが、口伝えや信用によって広がっていってほしい思いがあります。だから焦る必要はないと思っています。リピーターの方も増えていますし、今のところ心配はあまりないです。

ーー今後この街にとってどのような存在でありたいですか。

阿出川:地域の方にとって、散歩の途中でふらっと休憩がてらに寄れるような場所になれたらいいですね。また、SNSを通じて県内外からのお客様にも来ていただいて、地域が盛り上がるきっかけになれたら嬉しいです。

阿出川さん

「冬は雪が大変なんだよね」「これからもう少し人通りがあると嬉しいかな」

そう言いながらも、終始ほがらかな笑顔で語り、すっかり倉吉市での暮らしを楽しんでいる阿出川さん。今後は、土曜夜市や観音市など倉吉市で開催されるイベントへの出店も考えているとのこと。

「デリカリカフェ」の名刺や看板のかわいらしいイラストは、お知り合いのイラストレーターの方が描かれたとか。今後も阿出川さんのつながりから生まれる化学反応が楽しみです。

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