
2021年12月、香川県東かがわ市にある宅配弁当店「ユーマートウジハラ」が、relayを通して後継者募集をスタートしました。
今回「ユーマートウジハラ」を承継したのは、神奈川県に住んでいたご夫婦です。飲食店経営のご経験はありませんでしたが、以前より「田舎に移住してのスローライフ」を希望していました。夢を叶えるため、地方の働き先を探していたとき、息子さんから「こんな募集があるよ」と教えてもらい「ユーマートウジハラ」の募集記事を知ったと言います。オープンな形で後継者を募ったことで繋がったご縁。譲渡者と承継者にお話を伺いました。
聞き手:relay編集部
思いがけない「relay」との縁
ーー(聞き手)relay編集部(以下、略)まず、事業の承継を検討されたきっかけをお聞かせください。
譲渡者:2人の息子から「いつになったら仕事を辞めるんだ?」と言われていたからです(笑)。私たち夫婦の年齢や体のことを心配してくれていたんですね。ただ、息子たちは別の仕事をしているため、後継者がいない状況でした。
ーー今回、relayで後継者募集をされたのはなぜですか?
譲渡者:甥が、relayさんのスタッフとお知り合いだったんです。それで、引き合わせてもらうことになりました。relayさんは顔と名前を出す形での後継者募集をされていますが、もうお店はやめるつもりだったので、インターネットに掲載していただくことに抵抗感は全くありませんでした。
夢だった「田舎への移住」。事業承継がきっかけに
ーーこれまで飲食店経営の経験はなかったということですが、弁当配達店を継ぐことに不安はなかったのでしょうか?
承継者:経験はなかったですけど、あまり不安はありませんでした。妻が料理を担当してくれると思っていましたので(笑)。
ーー奥様の反応はいかがでしたか?
承継者:不安というよりは、とても悩んでいましたね。それまでは香川県どころか、四国に来たこともなかったので、「もう少し都会がいいのかな?」といった思いがあったようです。あとは金額を始め、募集条件が良すぎたので二人で「本当なのかな?」と疑っていました(笑)
ーー現地に初めて訪れたときのことは覚えていますか?
承継者:第一印象は「あの条件は本当だったんだ!」という感じでしたね。当時は神奈川県に住んでいたので頻繁に来ることはできませんでしたが、成約するまで3回から4回ほどは、現地に足を運びました。
ーー複数回、足を運び、最終的に後を継ごうと決めた理由を教えてください。
承継者:何度か足を運んでお話する中で、「ここでならやっていけそう」と感じられたからですね。その気持ちが生まれたから「後を継ごう」と決意することができたのだと思います。
ーー奥様も一緒に見学などをされたのですか?
承継者:はい。宇治原さんが「承継後も色々と教えるよ」と言ってくださったことで、「やっていけるかも」と安心感が生まれたことが、決意できた理由だったみたいです。
「友達のような、いい関係が築けています」
ーー今回の募集では、複数の後継者候補の方と面談をされましたが、最終的な決め手を教えてください。
譲渡者:まず、最初の条件として「夫婦」であることを希望していたのが一つ。また、パソコンができるということで、事務作業もテキパキこなせるという点も魅力的でしたね。私たちも夫婦でやっていたし、夫婦のほうが責任を持って仕事をしてくれるんじゃないかな? と、思っていたこともあって、その条件を希望していました。
ーー実際に引き継いだあとの働きぶりなどはいかがですか?
譲渡者:仕事をよく知っている従業員をそのまま引き継いでくれたので、スムーズに行っているんじゃないかなと思います。本当によくやってくれているので、任せてよかったと思っています。2人とも明るいですしね。
ーーみなさん、すごく仲が良さそうですね!
譲渡者:家も隣だから、年の離れた友達みたいですよ。いい関係が築けていると思っています。
承継者:私たちの決断が影響したのか、実は息子も香川県に移住したんですよ。今、一緒に住んでいて、サツマイモを作る農家さんで働いています。私と妻が香川県に引っ越すことを知り「僕もそっちに行こうかな」という気持ちが芽生えたのだと思います。
ーー親子3人で同じ場所に移住するなんて素敵ですね!
承継者:しかも、彼は私たちより早くに、こっちに移住してきたんです(笑)。現地で仕事を探したりと、色々と動いていたみたいですね。事業承継が家族の生活を変えてくれたのは間違いありません。
ーー事業承継には様々な形がありますが、今回は移住を伴う承継でした。大変なことも多かったと思いますが、いかがですか?
承継者:引っ越し作業自体は大変でしたけど、正直、移住してからの苦労はないんですよ。というのも、こっちに引っ越してからすぐに、色々とお世話をしてくださいました。今住んでいる家も、元は宇治原さんが住んでいたご自宅なので、住居探しの必要もありませんでした。特殊なケースなのかもしれないですけどね。
元スーパーの広いスペースを活かした取り組みを見据えて営業
ーー「ユーマートウジハラ」は元々、地域密着のスーパーでしたが、relayで後継者を募集する際は、お弁当屋さんのみで営業をしていました。それは今でも変わりませんか?
承継者:いまもお弁当配達のみで営業しています。今はまず、お弁当屋としての仕事をしっかりと覚え、継続して営業を続けられるようにするのことを第一に考えています。お店がうまく回せるようになったら、元スーパーという広いスペースを利用して、何かやりたいなと考えています。
ーーそれはいいですね。具体的なアイデアはあるんですか?
承継者:いくつかあるのですが、まだ実現可能かどうか考えてアイデアを絞っているところです。宇治原さんたちがやってきたことや引田という地域の特徴を活かした取り組みをするのが、一番理想的だと思っています。
ーー今回、relayを使っていただいた感想を教えてください。
譲渡者:relayさんしか使っていなかったから他のサイトのことはわかりませんが、不服はまったくありません。何名かと面談をさせていただき、決まりそうで決まらない…という状態もあったので、もう少し早い段階でたくさんの方とお話できていれば、よりスムーズに後継者を見つけられたのではないかな? とは感じています。
地元の銀行でもM&Aに関する話はありましたけど、relayさんのようにゆっくりと丁寧にやってはくれなかったんじゃないかな?手数料もかからなかったし、relayさんにお願いして良かったと思ってます。
承継者:relayさんを使ったからこそ、今こうして地方に移住し、働けているので満足しています。
ーー最後に事業承継を検討されている方々にメッセージをお願いします。
承継者:事業承継のアドバイスとしては、承継後にどこまでお手伝いをしてくれるかなど、曖昧にせずにしっかりと話し合うことをおすすめします。そこをはっきりさせることで、不安も解消でき、引継ぎがスムーズに行くと感じているからです。妻とも「ここに来てよかったね」とよく話しています。
譲渡者:良い出会いがあって、掲載して良かったと思っています。迷っている人は、一歩踏み出してみても良いんじゃないかなと思いますね。一歩踏み出す勇気がきっかけで、私たちはこんなに素敵な出会いに繋がりました。お互いが腹を割って正直に話し合ったからこそ、共に前に前進することができたんじゃないかな。
地域密着のスーパーとして営業からお弁当屋に生まれ変わり、その後、バトンが受け継がれた「ユーマートウジハラ」。今後、どのようなお店になっていくのでしょうか?楽しみにしています!