成約案件インタビュー

【成約事例インタビュー】「絶対繋がれない人と出会えた」同じ年20代経営者への事業譲渡の舞台裏

2020年7月、「クラウド継業プラットフォーム relay(リレイ)」リリースと同時に後継者募集記事が掲載された案件「bar gifter」。掲載121日目にしてLocal Local株式会社(本社:宮崎県日南市)と譲渡契約を締結しました。閉店が近づく店舗で、両者に今回の事業譲渡への思いを聞きました。

譲渡者:bar gifter オーナー 浜根 冬馬(28)
承継者:Local Local株式会社 代表取締役 石橋 孝太郎(29)、取締役 江本 侑太(28)
聞き手:relay編集部

東京生まれのベンチャーキャピタリストが地域でビジネスをやる理由

ーー(聞き手)relay編集部(以下、略)本日は宜しくおねがいします。まずは簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

(承継者)Local Local株式会社 代表取締役 石橋 孝太郎様(以下、敬称略):Local Local株式会社代表取締役の石橋孝太郎です。元々は東京生まれ東京育ちですなのですが、現在日南市で事業を行っています。宮崎と縁ができたのは4-5年ほど前で、前職に在籍しながら、日南市役所と一緒に地域での創業サポート事業を行ったのがきっかけでした。当時のプログラムを踏襲し法人化したのが約1年半前です。それから日南市にある「日南酒造会館」も事業承継し、当社で運営させていただいています。

Local Local株式会社 代表取締役 石橋 孝太郎さん

(承継者)Local Local株式会社 取締役 江本 侑太様(以下、敬称略):Local Local株式会取締役の江本 侑太と申します。出身は宮城県で、石橋とは大学時代に石橋が立ち上げた学生NPOの活動を通じて知り合いました。都内で就職する予定だったのですが、祖父の死に伴って営んでいた町工場での事業承継問題に直面し、地元に帰らなければならなくなりました。結果的に祖母が形だけ経営者になって、私自身が承継することにはならなかったので、現地で創業支援プロジェクトなどを行うMAKOTOという会社に入りました。定期的に石橋と話をする中で、名前が似ている宮城から宮崎へ移り住むことになりました(笑)

 

ーー宮崎にいらっしゃったのは、最近なんですよね?

江本:そうですね、石橋が日南市役所の協力で実施していたプログラムに一度参加したことがありましたが、いいところだなーと思っていた程度でした。まさか職場になるとは思ってもいませんでした(笑)でも、自分が携わってきたマーケティングなどの分野を、地方で活かしたいなと漠然と思っていました。東京でない田舎にいきたかったということもあり、タイミングがよかったですね。

Local Local株式会社 取締役 江本侑太さん

 

ーー石橋さんは東京生まれ東京育ちなのに、なんで地方でビジネスをやろうと思ったんですか?

石橋:私自身、学生時代NPOの立ち上げをやってきて「自分の想いが入ることをやる」ということが大前提でした。前職でご縁のあった日南市以外の地方で自治体との共同プログラムをやることがあり、地域文化へ触れたときに、インターネット化されていない部分に大きい課題感を感じました。そこで「できることがあるのでは」、と考えているときに宮崎で二度目のプログラムを開催することになり、宮崎で自ら事業承継をしてリスクをとっていくことで課題解決していくという選択肢もあるんじゃないかと思い、法人化して取り組むことにしました。

 

ーーなるほど。そのかたわら、東京でベンチャーキャピタル業もやられていますよね?これはどういう経緯だったのでしょうか?

石橋:これは前職での話なんですが、たまたま業務委託をやっていたクライアント先でベンチャーキャピタルの子会社を立ち上げたのがきっかけです。若い経営者に投資することでクライアントの戦略にいい影響を与えるのではないかという提案をしたところ、採用され、子会社をつくりました。まだ学生だったのですが、取締役に就かせていただき、そこから二年間働かせてもらいました。最終的には親会社に吸収合併されたのですが、それまでたくさんの地域に関わらせてもらったり投資をしてきたりしたので、その経験を地域のIT化という点で生かしていけるのではないかと思い、Gazelle Capital(ガゼルキャピタル)を立ち上げました。

 

ーーミクロな視点で現場で実務をするLocal Local社と、マクロな視点で地域での投資活動を推し進めるGazelle Capital社という両輪で活動されているのですね。話が少し前後するのですが「日南酒造会館」を事業承継された経緯を教えてもらえますか?

石橋:はい。日南市とのプログラムの第二回目を行う際、自治体側に色々とお問い合わせが入って、日南市の地域内の事業者様の事業承継に関する課題解決をテーマにプログラムを行ったことがきっかけです。そこで参加したメンバーと一緒にここまで検討したのだったら、自分たちでしっかり委託をうけさせてもらおう、という流れで承継させて頂きました。

事業承継した日南酒造会館

 

ーー実際引き継がれていかがですか?

石橋:売上や利益的にはまだまだですが、自分たちが現地でしっかりと実務をおこなっているのでご縁が色々と繋がっているのは大きなメリットだと思います。一方、元々の酒造組合のみなさまとの連携という点ではもっとできることはあると思っています。これから今一度しっかりと組織固めして、攻めに転じていきたいと思っています。

半年で黒字化、3年で事業譲渡。bar gifterのこれまで

ーーありがとうございます。では浜根さんお待たせ致しました(笑)今回の事業承継にあたって、これまでどんな想いで運営されてきたか、改めてお聞かせ頂けますでしょうか?

(譲渡者)bar gifter オーナー 浜根 冬馬様(以下、敬称略):はい(笑)僕も元々宮崎出身ではないのですが、前職で海外で働いていて、その支店が宮崎にあるという縁で4-5年前に移り住みました。学生時代から経営に興味があり、その練習といったらなんですが、お店を立ち上げてみて、1年くらいで初期費用を回収して地元に帰ろうと思っていました。

ありがたいことに、予想以上にうまくいって、半年くらいで初期費用は回収できました。メインの顧客が30-40代の方なのですが、若い人が飲み放題で騒がしいお店も多い中で、そのようなお客様が来てくれるようになったのが、よかったなと思います。その頃から徐々に売上があがるのが楽しくなって帰るのを忘れてしまいました(笑)

bar gifter オーナー 浜根冬馬さん

ーーすごいですね!どうやってそのようなお客様を開拓されたのですか?

浜根:草の根活動です(笑)一晩で同業者のお店を7件ハシゴすることもありました。そこで知り合いになって来店してもらって、という繰り返しです。1年目は休みなしで働いていましたね。

 

ーー大変でしたね(笑)

浜根:そうですね。ただニシタチにはよそ者を排除するような雰囲気がなく、若者を応援してくれる印象でした。なので、どんどん若者感を出して頑張ってきました(笑)

 

ーー今回事業承継されるわけなのですが、コロナの影響でなく、元から区切りをつけようとされていたのですよね?

浜根:はい、もう一度海外に行きたいという想いもあり、始めた当初から「3年」というのは一つの区切りにしていました。飲食店は3年以内に潰れるのが7-8割ということもあり、自分の中で実績もできたかなと思っています。

 

ーー7月に記事を公開して、約4ヶ月で無事に事業承継が決まりました。閉店(11/29)までももう少しです。今のお気持ちはいかがですか?

浜根:いやー感慨深いですね。お客様も「最後感」出してくるんで、泣いちゃうんですよ(笑)寂しいですね。12月からも新店舗で少しお手伝いするんですけどね。

 

ーーLocal Local社さんと面談したときの第一印象はいかがでしたか?

浜根:色々と問合せもあったのですが、個人で開業したい人が多かったので、まず法人から連絡がきたという時点でびっくりしました。会社のHPも拝見していましたが、会社的にも面白いことをやられているし、よかったですね。

 

ーーLocal Local社のお二人が初めてこのお店に入ったときは、どんな印象でしたか?

石橋:思ったよりお店が小さな印象はありました。webで見るより意外とテーブル席が狭いなとは思いましたが、そこまで違和感はありませんでした。

江本:いい意味でも悪い意味でも、夜の店っぽいなと思いました(笑)。壁の黒さや窓の感じがとてもいいのだけど、使い方によっては夜のお店っぽくなりすぎるので、ブランディングが難しそうだなという印象はありました。

浜根:僕が入居したときもそのようなイメージはありました。gifterでは隠れ家的な感じのお店にしたかったということもあり、カクテルの種類を増やしたりして、「女性が男性を連れてくる場所」という雰囲気に持っていきましたね

 

ーーLocal Local社さんとしてはどういうきっかけで事業承継を決められたのですか?

石橋:弊社には、大きく言うと二つの今後の事業展開があります。一つは日南市にある自社運営の小売店を通じて日南の豊富な銘柄の焼酎を飲食店様へ販売し、取引先を増やしていくこと。もう一つは焼酎が好きな方の反応を直接見ながら、自社で焼酎の新商品企画開発をすることです。ですので、事業承継は積極的に行おうとしていました。自社運営する「日南酒造会館」が活かせるような、相乗効果がある場所を県内外問わずに検討していたんです。relayにてgifterさんの案件を見たときは、「イケてる飲食店が出ているんだな!」という印象で、すぐにメンバーにURLを送りました(笑)日南市と比べると宮崎市は商圏も大きいですし、単なる飲食店としてだけでなく、宮崎市内の飲食店への酒類販売など小売の事業との相乗効果も見込めます。会社の立ち上げからも1年ほどたって、次のステップを考えていたので、地域も業態も規模も大変相性がよい案件でした。

relayでのbar gifter紹介ページ

ーーとても分かりやすい戦略ですね

江本:宮崎市内でも何軒か飲みに行ったのですが、日南市の焼酎販売のニーズをとても感じます。やはり仕入れている酒屋さんと取引のない蔵元さんのお酒はなかなか仕入れづらいらしく、私たちが日南市内の蔵元さんの商品をきちんと卸せるというのは大きな強みになりそうです。

 

ーーなるほど。今後お店には江本さんが立たれるのですよね?今後お店としてはどんな雰囲気にしていくのでしょうか?

江本:当面は立ちます。大きな変更点でいうと、日南市の焼酎に特化したバーに生まれ変わること。そしてカラオケをなくすことです。飲み放題のシステムは継続していく予定なのですが、飲み放題だからといってお酒のクオリティを下げたくないと思っています。雑多になりすぎず、焼酎が好きな方々が楽しめるような環境をつくりたいです。

 

ーーいいですね。浜根さんにお聞きしますが、gifterとして、ここは引き継いでもらいたいなという点はありますか?

浜根:僕は全然こだわりはないですね。むしろ僕も当初カラオケも入れたくなかったくらいでした。gifterも客層的にカラオケが多くなるわけではないです。ただ、宮崎の文化的に、飲み放題なのにカラオケがないっていうのは、クレームになりやすくて、その点は注意が必要かもしれません。

江本:その点は結構テスト的な感覚もあって、飲み放題からカラオケをとったらどうなるのか?という。ダメだったらまたつければいいですしね(笑)

絶対に繋がれない人と、出会うことができた

ーー次がどんな店になるのか楽しみですね。譲渡日は11/30(月)となりますが、次はいつから開店されるのですか?

江本:12/1(火)からオープンします。その日からお店に立ちます(笑)

石橋:どうなるか全くわからないですけどね(笑)

江本:こういう時期なのでイベントなどは行いませんが、日南市の方から来ていただる方もいるようで、ありがたい限りです。

石橋:本当にゼロベースからの開店です。なかなかすごいスケジュール感でした。

 

ーー店名は変更するのでしょうか?

江本:店名は変更します。◯◯にしようと思っています。

※店名の公表は12/1のLocal Local社さんからの発表をお待ち下さい!

 

ーーgifterの最終日はどう過ごされるのですか?

浜根:僕も次の日休みなんで、早い時間からあけて、常連さんたちとお酒を飲みきろうと思います。次の日のクリーニングの時間まで僕が店内で寝てないといいんですが(笑)

 

ーー浜根さん、本当にお疲れ様でした。そして石橋さん、江本さん、次も楽しみにしております。最後に、事業承継を経た両者からそれぞれお互いにコメントを頂いてもよいでしょうか?

石橋:店名は変わっちゃうんですけど、そもそもの場は変わらないですし、3年間浜根さんがここで運営されてきていらっしゃった実績をしっかりと引き継ぎさせていただいて、スピード感もって次の店舗も成長させていきたいと思っています。このあと2ヶ月ほど伴走いただくこともあるので、丁寧にやっていきたいですね。relayに対するコメントでいうと、齋藤さん(relay運営会社 代表取締役)が宮崎にいるからこそ、やりやすく、いい意味でウェットにやれたと思います。他県だともっとドライだったんだろうなと。relayを見た人が遊びに来てくれたり、新しいコミュニティができるようになったりするといいですね。

浜根:relayを通じて個人で探しても絶対繋がれない方と出会うことができて、満足しています。本当によかったなと思います。ぜひLocal Local社さんにもできる限りいい状態で引き継げるようなサポートが最後までできたらと思います。

 

ーー浜根さんがまた宮崎に来られた際に、寄れる店になるといいですね!

浜根:思いっきりカラオケ歌ってる店になってたりして・・・

一同:(笑)

 

あとがき

事業譲渡に関わる閉店と開店の準備でお忙しい中で、両者とも大変気軽にお話くださいました。「個人で探しても絶対繋がれない人と出会えた」「見つけてすぐにURLをメンバーに送った」など、relayとして実現したい未来が垣間見えた気がします。relayでは今後も新しい価値観を提示し、事業承継をもっとオープンにしていきたいと思います。

(relay編集部)

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