成約案件インタビュー

【成約事例インタビュー】休業から再出発へ。食堂シノノメの味と想いを引き継ぐ、後継者の挑戦

埼玉県さいたま市にある「食堂シノノメ」は、毎日日替わりの献立と、温かみのある雰囲気で多くの人に親しまれてきた食堂です。建築設計事務所を営んでいた前オーナーがDIYで仕上げた、レトロで温かみのある空間。そして、調理を担う女将さんのこだわりの味。その二つが重なり合い、地域の常連さんにとって食堂シノノメは特別な場所となっていました。

しかし、女将さんの体調や経営環境の変化など様々な事情が重なり「事業を止めるのではなく、この場所と想いを引き継いで欲しい」と、前オーナーは2025年4月よりrelayで後継者募集をスタートしました。

そんな食堂シノノメを継ぐこととなったのは、長年飲食業界に勤め、いつか自分の店を経営したいと考えていた茨城県出身の菊名和樹さんです。オープンな募集だからこそ結ばれた食堂シノノメとのご縁。事業承継のきっかけや、現在挑戦中のクラウドファンディングに込めた想い、未来への展望について、お話を伺いました。

承継者:菊名和樹様
聞き手:relay編集部

事業承継という選択肢と、シノノメとの出会い

――(聞き手)relay編集部(以下、略):最初に食堂シノノメを知ったきっかけを教えてください。

(承継者)菊名和樹様(以下、敬称略):もともと私自身、イベントの企画・運営に携わったり、自分で何かを作っていくことが好きということもあり、起業にとても興味がありました。様々な経営者のSNSや、YouTubeなどをチェックしていくなかで、起業・独立をするための選択肢のひとつとして「事業承継」があることを知りました。

そしてrelayにたどり着き、エリアと業種で検索したなかで、今住んでいる場所からも近く、すぐに動けるぞ!とピンときたのが食堂シノノメでした。

――数ある後継者募集案件の中で、食堂シノノメに惹かれた理由は何だったのでしょうか?

菊名:“1日1献立・365日日替り定食”というコンセプトがすごく魅力的でした。これは私自身も将来やりたいと思っていたアイデアのひとつで、「ここだ!」と思ったんです。場所がすでにあること、調理担当の女将さんや、スタッフの引き継ぎも相談可能ということも魅力のひとつでした。

――初めて「食堂シノノメ」を訪れたときの印象はいかがでしたか?

菊名:店内がすごく柔らかで落ち着く雰囲気で、内装やインテリアひとつひとつが素敵だな、と感じました。前オーナーが、一から手作りされた空間だと聞いて驚きました。そして何より、前オーナーと調理担当の女将さんが本当に温かい方で、お店や料理への想いをたくさん語ってくれたことでより一層「この想いを引き継ぎたい」と強く思ったんです。

――菊名さんにとっても事業承継は初めてのことですよね、引き継ぐことに不安はありませんでしたか?

菊名:不安というよりも、チャレンジしてみたい気持ちが強かったです。飲食の現場で運営管理を任されてきましたし、イベント業でスポンサーを探す経験もあったので、「自分ならできる!」と思えました。ワクワクする気持ちのほうが大きく、原動力になった感じですね。

待ち望む声に応えるために、クラウドファンディングへ挑戦

――現在食堂シノノメは一時休業中とのことですが、再開にむけた準備について教えてください。

菊名:従業員3名を引き継ぎ、まずはランチ営業から再開します。その後、夜営業も段階的に始める予定です。食堂シノノメを支えていた従業員の方々が残ってくれたこともそうですが、仕入れ先も女将さんのネットワークがそのまま残っていて、とても心強いですね。

――再オープンに合わせてクラウドファンディングにも挑戦されていますね。

菊名:半年近く休業していたので、食堂シノノメの料理を心待ちにしてくださる方々のために感謝をカタチに変えご提供したい、という思いと、もう一度「ここに食堂シノノメがあるよ!」と知ってもらうきっかけにしたいと考え、挑戦を決めました。

「食堂シノノメ」クラウドファンディングページ

――支援してくれた方へのリターンはどのような内容がありますか?

菊名:お得な食事券のセットや、日常にも食堂シノノメを感じていただけるようなオリジナルグッズをご用意しました。女将さん手作りのおばんざいを1年間無料でテイクアウトできるプランもおすすめです。

また、すぐには食堂シノノメにお越しいただけないという遠方の方でも応援できるように、チョークアート作家さんとコラボしたプレートやクッキーなども準備しています。このクラウドファンディングをきっかけに、全国の方にシノノメを知ってもらえると嬉しいです。

――クラウドファンディングへ挑戦、待望の再オープンと、菊名さんが描く食堂シノノメのストーリーはとてもワクワクします!今後の展望についても教えてください。

菊名:食堂シノノメを“ブランド”として育てていきたいです。というのも、今回引き継いで一番感動したのは、女将さんの料理への「こだわり」です。特に女将さんが一から手作りしたあんこやお味噌は、本当に唯一無二の味なんです。お店でしか食べられないのがもったいないな、いつでも食べたいなと、私自身もすっかり味の大ファンになりました。

店舗の運営が落ち着いてきたら、これらを商品化してお持ち帰りができるようにしたり、発送できる仕組みを整えたり、もっともっと全国各地の人に届けていきたいと考えています。前オーナーからも「食堂シノノメを唯一無二の食堂として育ててほしい」と託していただいたので、期待に応えられるよう頑張りたいです。

チャレンジのきっかけとしての、 “つなぐ”という選択肢

――事業承継を通じて得たこと、そしてこれからチャレンジする方へのメッセージをお願いします。

菊名:自分が経験してみて、事業承継は本当にすばらしい仕組みだと改めて感じています。長年続いてきたお店には、それぞれ閉めざるを得ない事情があったとしても、そこに込められた思いや文化があります。それを受け継いで、さらに新しい考えを取り入れて発展させていけるのは、とても魅力的なことですよね。

もちろん大変なこともありますが、ゼロから事業を立ち上げるよりもはるかにリスクを少なく抑えられると思います。これまで先代が積み上げたものがあるので、もし経営が難しくなった場合でも、「どこに課題があるのか」を突き止めやすく、改善して再スタートできるチャンスがあるのも事業承継の強みだと思います。

だからこそ、この“つなぐ”という選択肢がもっと広がってほしい。挑戦しようと思っている方には、ぜひ一歩踏み出してほしいです。クラウドファンディングへの応援もぜひよろしくおねがいします!

想いをつなぎ、新しい挑戦へと広げていく。――今回の事例のように、事業承継をきっかけとした起業や、承継後のクラウドファンディングへの挑戦は、想いを受け継ぎながら新たな挑戦を後押しする仕組みとして広がりつつあります。

食堂シノノメの再オープンに向けたクラウドファンディング、そして地域に再び灯りがともる瞬間を、私たちも心から楽しみにしています!

「食堂シノノメ」クラウドファンディングページ

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