成約案件インタビュー

【成約事例インタビュー】こだわりの果実を世に送り続けるために。田代農園が見つけた、後悔のない事業承継

宮崎県宮崎市清武町にある「田代農園」。約1haの広大な敷地で田代敏徳さんと田代理恵さんが農園を運営していました。栽培するのは、パパイアやマンゴー。清武町の温暖な気候や砂壌土が栽培に適しており、パパイアは年間を通して収穫が可能です。

通常直立で育ち、1年間で1メートル以上伸びるパパイア。田代さんは、苗を寝かせて植え、成長に伴い紐で引くなどして育てる「誘引栽培」と呼ばれる独自の栽培方法で育てていました。そのユニークな栽培方法や田代夫妻のキャラクターは注目を集め、数多くのメディアにも取り上げられました。JA宮崎中央パパイア研究会会長も勤められ、宮崎県のパパイア栽培を牽引する存在として大きく貢献されました。

一方、近年将来の後継者と自分たちの高齢化を課題に感じていた田代夫妻。2023年5月に第三者事業承継を本格的に検討し、宮崎市へ相談へ行ったことを機にrelayを知り、後継者募集をスタートしました。

そんな田代農園を引き継ぐことになったのは、宮崎県に住む岡島和希さん。農業協同組合の営農技術員として、田代農園を担当していました。引き継ぐことになった経緯や農業承継者不足の問題についてなど、田代農園の田代敏徳さん、田代理恵さん、承継者のおかじま農園 岡島和希さんに話を伺いました。

譲渡者:田代農園 田代敏徳様・理恵様
承継者:おかじま農園 岡島和希様
聞き手:relay編集部

「動ける・判断できる」今だからこそ、事業承継を決断した

ーー(聞き手)relay編集部(以下、略):事業承継をしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

(譲渡者)「田代農園」田代敏徳様(以下、敬称略):父の代から農家をしており、大学を卒業後22歳でUターンし、昭和55年に家業に入りました。元々は花専業農家で、かすみ草などを育てていました。パパイアの栽培を始めたのは、2005年ごろから。そのあとマンゴーの栽培も始めました。平成元年からは地元の船引神社の宮司をしながら農業を営んでいました。

(譲渡者)「田代農園」田代理恵様(以下、敬称略):事業承継を考え始めたのは2〜3年前ごろから。うちは娘が3人いるのですが、皆結婚して独立しています。配偶者は3人とも公務員で農業を承継する意思がないことを確認していましたので、いつか第三者承継を考えなくちゃならないよねっていうのは話していたんです。でもタイミングが難しかった。

田代敏徳:事業承継をしようと本格的に動き出した一番のきっかけは、夏の暑さで妻がダウンしたことでした。これまで私が宮司と農業と2つの仕事をするようになってから、家族の協力のもと、経営をしてきましたが、母が他界し、父も高齢になり、ほぼ妻と2人でやっている状態でした。神社の宮司という責任ある立場にもあるため、神社の祭典や宮司の仕事が忙しい時には、結果的に妻に負担がかかっていました。

田代理恵:面積も広いし、夏の暑い時期と繁忙期も重なる。年齢的にも、体力的にも厳しくなるなと考えていました。自分たちが手入れできなくなってそのまま放置する、ということだけはしたくないなと思っていました。農地を荒らすことなく、2人ともちゃんと動けてしっかりと判断できる余力のあるうちに、本格的に承継しなくちゃならないと、宮崎市に相談に行きました。

自分たちで後継者を見つけようと思っても、なかなか難しい。どんな風にしたらうまくいくのかも相談したいと思っていました。そこで紹介されたのが「relay」でした。

ーーまだまだ家族で引き継いでいくことが一般的な農業界ですが、第三者に承継することに抵抗はありませんでしたか?

田代理恵:もともと第三者事業承継があることは知っていましたし、もう親族承継では難しい時代が来ているので、特に抵抗はなかったです。ただ手続きやどんな人に譲ればいいかなど、不安な点はありました。これまで設備にも投資してきましたし、栽培にもこだわってきたので、ちゃんとした人に譲りたいと思っていましたね。

後悔なくバトンを繋いだ、こだわりの果実栽培

ーー承継者の岡島さんとはどのように出会ったのでしょうか?

田代敏徳:岡島さんは、もともと農業協同組合の技術員として、田代農園を担当していました。10年ほど前からの付き合いで、かなり研究熱心で様々な農園から頼られるような存在でした。relayでの掲載など、事業承継に向けて本格的に動き出していることを伝えたところ、自分に継がせて欲しいと申し出てくれました。

(承継者)「おかじま農園」岡島和希様(以下、敬称略):田代さんから事業承継を考えていると聞いたとき、その瞬間に「ここを承継したい」と思ったんです。田代さんの農園は、敷地も広く、生産技術や設備も素晴らしい。普通の人じゃできないと感じていました。農家に従事する祖父がおり、小学生のころからいつか自分自身も農業をしたいと考えていたので、すぐにパートナーに相談し、承継を決めました。また、近所に住む両親も一緒に手伝ってくれるということも心強い後押しでした。

ーー岡島さんに承継した決め手は何でしょうか?

田代敏徳:様々な農園の事例を見てきているので、人よりも一歩も二歩も技術や知識が長けている。加えて、人柄にも信頼がおける点が大きいですね。承継が決まってからは、毎日朝5時に水やりに来たり、剪定に来たりと、かなり熱心に動いてくれました。そのおかげで、花芽の出が良い。自分たちよりも早い収穫や出荷になっていると思いますね。

田代理恵:普段からコミュニケーションも密にとっていて、人となりもよく知っている関係だったので、私たちもすぐに承継を決心できました。現在パパイアもマンゴーも収穫できる成木設備も老朽化する前に譲渡することができたので、収益の見込みも明確にある。色々なタイミングが良かったように思います。

ーー岡島さん、実際引き継いでみていかがですか?

岡島:自分が手掛けることができて、とても嬉しいです。農業はもちろん大変ですが、常に自然と触れ合うことができ、外的要因はあれど、ある程度自分がやったことがそのまま収入に繋がっていく。自分が頑張るほど、収入が上がります。ストレスなく働けていると思いますね。

栽培についてはある程度流れは分かっていたので苦労しませんでしたが、設備の管理についてはかなり苦労しました。ハウスのパイプが折れるなどすると修繕が必要になるのですが、毎回業者に頼んでいるとお金がかかってしまう。自分で修復するにも知識がない、という状態でした。田代さんや周りの先輩農家さんに助けていただきながら、徐々に慣れていきました。

田代敏徳:農園の運営は、栽培だけじゃなく、土木・水道・電気・販売・経理などの知識が必要で、やることがいっぱいある。困ることもいっぱいあるんですよね。「田代さんどうしたらいいんですか」って最初の頃はよく電話があって、アドバイスをしにハウスに行っていました。

田代理恵:岡島さんの奥さんも一緒に作業しているので、長くお付き合いのあるお客さんを紹介して、発送業務についても引き継いでいます。近くにいるからこそ、何かあったら手伝いに行けるのもいいですよね。

ーー実際に承継された側として、引き継ぎの時にどんなサポートがあると良いと思いますか?

岡島:自分は農業協同組合の技術員として、栽培についての知識は持っていました。しかし、これから自分で農業にチャレンジしたいという方たちは、知らないことばかりだと思います。栽培についての知識はもちろん、設備の管理に関してもアドバイスしていただけるような支援があるととても助かるのではないでしょうか。

新たな選択肢として、第三者事業承継を当たり前に

ーー承継したことについて、いまどのように感じていますか?

田代敏徳:僕は譲ったことに後悔はないけど、まだ少し寂しいかな。

田代理恵:私も後悔は全くないですね。田代家に嫁いできて、37年家族で協力して、新しい作物にも挑戦し、たくさんPR活動もして、やりきったという自負があります。きっと他の仕事では得られないような充実感ややりがいを感じることができたと思います。

もちろん、いざ譲るってなるまでは葛藤がありました。決心するまでは眠れない日が続きましたが、決心してからは吹っ切れました!そう思えるのも、信頼のおける岡島さんに譲れて、立派に栽培してくれているということが大きいと思います。

ーー後継者不足により、誰にも引き継がれないまま耕作放棄地になっているところも全国的に増えています。どのように思われますか?

田代敏徳:このあたりもここ10年で一気に変わるでしょう。高齢化も進んでいるし、子どもがいないとか県外に行っているなど後継者がいない方も多い。

農業は日本にとってなくてはならない産業だし、自給率をあげないといけないという気持ちもある。自給率が低くなると、世界的に見ても弱点になってしまうので、ちゃんと承継して農業を守っていかなくちゃならないと思いますね。

田代理恵:ついこの間までは、農家の長男が継ぐのが当たり前だった。でも今は、そもそも少子化だし、農家に生まれたからといっても跡を継ぎたいと思う人ばかりではない。無理強いはできない時代ですよね。

今は、会社員の家に生まれても、女性でも、農業に憧れて農家になりたいという人も多いですよね。そんな本当にやる気のある方に引き継いでもらえると良いんじゃないでしょうか。

田代敏徳:これからの時代は、やらなきゃならないという強制的な親族承継に囚われず、純粋に「農業をやりたい」というモチベーションの人がやれるといいんじゃないかと思います。農家さんって、年齢的にも体力的にもギリギリまで頑張ってしまう方が多い。relayのような第三者承継が、もっと農業の世界でも広まり、気軽に承継できるといいなと思います。

ーー今後どんな農園になって欲しい、どんな農園にしたいと思いますか?

田代理恵:岡島さんにはご両親、奥さんと仲良く、私たち以上に良い作物を作ってしっかり収益を上げてもらうことを心から願っています。そして引き受けてよかった、と思ってもらえると嬉しいです。

岡島:誰が食べても「美味しい」と思っていただけるようなパパイアとマンゴーの栽培を続けていきたいです!

ーー農業従事者の高齢化や新規参入の難しさから、一層深刻化する農業の後継者不足問題。農業従事者の増加は、食料自給率を高めることはもちろん、地域の伝統や文化、経済の持続化にも直結していきます。田代さんたちのような第三者事業承継が当たり前になることは、多くの農地の未来を耕すことにもなるのかもしれません。

熱い想いと数多くの知識や技術を蓄えて引き継いだ岡島さん。今後のご活躍を心から応援しています!

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