成約案件インタビュー

【成約事例インタビュー】閉店を知ったファンの声が背中を押した。店長である兄が、弟の会社から「若草HUTTE」を事業承継!

2021年9月、宮崎県宮崎市にある「若草HUTTE(ヒュッテ)」がrelayにて後継者を募集しました。ファンの間で緊急ミーティングが開かれるなど、驚きと衝撃を持って受け止められた「若草HUTTE」の閉店話。紆余曲折を経て、ファンやユーザーの熱い後押しにより、現在の「若草HUTTE」の店長である今西正さんが店舗を承継することになりました。株式会社HUTTEを退社し、店舗を買い取り承継する覚悟を決めた正さん。relay初となる従業員承継および親族承継を実現させた今西兄弟にお話を伺いました。

譲渡者:株式会社HUTTE代表取締役 今西猛様
承継者:今西正様
聞き手:relay編集部

こういう結末は全く予想していなかった

ーー(聞き手)relay編集部(以下、略)本日はよろしくおねがいします。率直に言うと、最初に聞いたときは驚きました(笑)でも従業員承継というのはよくあることですし、多くの方が望む結果になりましたね。

(譲渡者)株式会社HUTTE代表取締役 今西猛様(以下、敬称略):relayに後継者の公募を出したときは、完全に第三者に事業譲渡をしようと思っていたので、こういう結末は全く予想していませんでした。兄弟だから最初から決まってたんでしょって思われるかもしれないですけど、本当に全然そんなことはなかったんです。

(承継者)今西正様(以下、敬称略):同じく僕もです。この状況で続けるのは厳しいと思っていたし、ビジネス的に考えれば手放すことは仕方ないと思っていました。

ファンの声と想いが、心を揺り動かした

譲渡者:株式会社HUTTE代表取締役 今西猛さん

ーーrelayで公募を出してからの反響はすごかったですね。ファンの方々の声が正さんの心を動かしたんですか?

猛:ぶっちゃけ少しは反響あるかなと思ってましたけど(笑)、ここまで反響あるとは思ってなかったです。本当に多くの方が声を出してくださいました。

正:閉店発表後、SNSやrelayの記事を通して閉店を知られた方から沢山連絡や色々な話をいただきました。県外からの連絡も多かったです。涙して下さる方もいて、若草HUTTEのことを必要と思ってくれている人がこんなにいたんだと、改めて認識することも多くありました。一方で、相当悩んで決めたことだろうと、あえて何も言わずに見守ってくれる方もいました。僕たちのことを思って色々な判断をしてくれた人がいて、本当にありがたかったです。

猛:単純に閉店しますってやってたら静かに閉店したと思うけど、relayで事業譲渡しますという記事を出したことで、県内外たくさんの方の目に届きました。今の若草HUTTEがなくなるのは寂しいなと思ってくださった方がたくさんいて、なにか支援できないか、応援できないかというので、兄貴もそういう声をたくさん聞いたから一歩動き出したのかな。それがなければ間違いなく兄が事業譲渡することはなかった。たくさんの声をいただいたおかげで動き出したのかなと感じています。

正:そうですね。普段聞けない声を聞くいいきっかけになりました。やめられたら困る、どこに行けばいいんだというような多くの声を聞いて、申し訳ない思いもありました。やめると言わなければ聞けなかったこともありました。意識的なのか、先輩の経営者たちがどん底の頃の話などをしてくれるんです。皆さん最後におっしゃるのは「好きだからやってる。やりたいからやってる」と。今の自分に大切なことを教えてもらいました。

ーーファンやお客さんが後押しした声とはどういうものだったんですか?

正:閉店を知った方々が有志を集いオンライン上でミーティングを開いてくれました。もちろん私達2人は不在での開催です。50人ほどの方が参加頂いたと聞いています。開催後には、会の内容をまとめたファイルを頂戴しました。 単に閉店を惜しんで存続を希望するのではなくて、なぜHUTTEに通っていたのか、HUTTEの何を残したいのか、などの内容でした。 

この会以外にも、来店やメールなどで直接の沢山のお声かけを頂いていたので、どうにかして続けないといけないし、自分もやりたい、やらなくてはという思いに変わってきました。

引き継ぎにより、さらに伸びていける場所になれる

承継者:今西正さん

ーーそうして正さんの心が決まっていったんですね。

正:最後はシンプルになくしたくない、やり残したこともあるし、という思いでしたね。本来は自分でやらなくても色々な可能性がありました。でも誰かの力を借りるのは甘えかなと思った。小さいスタートからでもやりたいと思ったので決断しました。

ーーそれを聞いたときの猛さんの気持ちは?

猛:待ってました、よくぞ言ってくれましたと思いました。兄貴は石橋が壊れるくらい叩いて割るタイプなので(笑)本当に皆さんの後押しのおかげのおかげです。

正:自分が買い取る形の方が不安定だけど今西テイストが残っていく。自分が残るのが一番と思いました。株式会社HUTTEの社員として考える部分と個人として考える部分。バランスが難しかったけど覚悟を決めました。

猛:兄貴がついでくれるのは本望。本来は任せたいなとずっと思ってきました。兄貴が引き継いだことで、より次につながる形で何かが残る、さらに伸びていける場所になれるんじゃないかと思っています。林業や山師を発信する場所としても引き続きできます。もはや若草HUTTEは美郷町のためだけの場所じゃないんだなと気づいたので、兄貴の力で宮崎県中の人とつながってほしいです。

一周回って確固たる信念と覚悟ができた

ーー最後は正さんと猛さん、そして猛さんの奥様と3人で話し合いをされたと伺いました。そのときはどういう様子だったんですか?

猛:冷静に淡々と。兄弟間だと感情的になって喧嘩になっちゃうんです(笑)。まとまる話もまとまらないので、ひとつひとつ決めながら着地していきました。条件とかお金も発生しますし、契約もしないといけない。お互い悲喜こもごも含みながら(笑)普段は冗談を言い合う中ですが、ビジネスではお互いの主張があってたくさん喧嘩もしてきました。若草HUTTEが始まってから一緒に飲んでないです(笑)

ーーこれからはまた一緒に飲めますね(笑)

猛:兄弟仲はよくなるんじゃないですか(笑)

ーーこれからは正さんが個人として若草HUTTEを承継されるんですよね?

正:そうですね!個人事業主として若草HUTTEを運営します。出来るだけ早くの営業再開を目指して準備を始めます。

猛:僕個人としての若草HUTTEとの関わりは、これからももちろん変わりません。でも今度からはイチお客さんとしてしっかり消毒してから店に入ります(笑)

若草HUTTEがこれからも必要とされる場所であり続けるために

ーー一皮むけて再出発する新HUTTEがとても楽しみです!最後に、これからの若草HUTTEへの意気込みと期待をそれぞれお願いします!

猛:改めて分かったのは、若草HUTTEは私たち兄弟だけのものではないということ。これからもずっと、たくさんの方にとって必要な場所であってほしいです。兄貴が事業を引き継ぐことになりますが、実際はそれだけではありません。応援してくださる方が脇をかためてくださることにより、数字的にも景色的にも未来が感じられたから今この事業譲渡があると思うので、みなさんのおかげですというのは声を大にして言いたいです。本当にありがとうございます。

正:そうですね。協力体制の強みを深く感じたので、より強力に新しい可能性を模索していきたいです。うちはコミュニティが強みで、求めてくださってることはそこなのかなと。コロナ禍の環境も変わってくると思いますが、今後は外的要因に振り回されないようなやり方も模索したいです。ある程度の形は持続しながら変化させていくので、これからの若草HUTTEを見ていてほしいです!

(編集後記)

一周回って確固たる信念と覚悟ができたと語る正さん。その顔は前回取材したときよりもすっきりと、そして生き生きとして見えました。relayとしてもこのようなケースは初めてですが、色々なケースがあってよいと思います。relayで募集をかけたことで閉店前に多くの方の声が届き、事業の真の価値に気づき選択肢が増えるというのは、relayが目指しているひとつの形でもあります。今回の事業承継につながるひとつのツールになれていたら嬉しいです。relayでは今後も新しい価値観を提示し、事業者さんが笑顔になれる承継の形を模索していきます!

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