事業承継ストーリー

上場企業から北海道へUターン!3代目社長が進める改革とは

一部上場企業のサラリーマンから一転、祖父から父へと2代続いた会社を継ぐため、北海道へUターンした30代の社長がいます。「できない理由を考えるのではなく、社員とともに実現出来る方法を考える」そうした考えのもとで、様々な社内改革を推し進めてきた若きリーダーにお話しを伺いました。

「晴天の霹靂」亡き父の後を継いで経営者に

戸舘佳佑(とだてけいすけ)さんは大学卒業後、サラリーマンとして働いていましたが、2017年の5月に3代目としてトダテック株式会社を引き継ぎました。先代社長である父親が亡くなり「青天の霹靂」で後継ぎになったといいます。

トダテックの3代目、戸舘佳佑さん

戸舘さん「両親からは、継いでも継がなくてもどちらでもいいと言われていて、自分も継ぐつもりはまったくありませんでした。当時は一部上場の企業で働いていて、ずっとサラリーマンの方がいいと思っていました。でも、父が余命半年と宣告されたとき、会社と社員をどうにかしなければと、急きょ、北海道に帰ることを決めたんです。いつも父の背中を見てきたから『いつかは帰るべきなのかも』と心のどこかで思っていたのかも知れません」

広い敷地に3つの工場を持つ、老舗のものづくり企業

トダテック株式会社は、1954年、戸舘さんの祖父が札幌の中心である中央区で創業しました。溶接での製造をメインとし、事業拡大のため札幌市白石区、そして南幌町へと移転。50坪の敷地からスタートした会社が、今では敷地面積4,863坪。大きな工場が3つあり、主に食品工場やゴミ処理施設で使用する産業機械や荷物の保管・移動用のコンテナ、ワイヤーロープなどを製造しています。

顧客の倉庫レイアウトに合わせ、空間を最大限に有効利用できるよう設計から製作までを行う、オーダーメイドの案件を多いのが特長です。北海道内の顧客が中心で、行政・民間問わず取引があるといいます。

「できない理由は禁止」Uターン社長が推める改革

北海道に戻って3代目の社長に就任した戸舘さんは、先代が経営していた頃に比べて、かなりたくさんのことを変えてきたそうです。

戸舘さん「まずは仕事のやり方です。『できない理由禁止』というスローガンを立てました。新しい分野に対して『人が足りないからできない』『どうやったらいいか分からないからできない』という意見が多かったんです。そこで、中小企業のメリットである”社長との距離の近さ”を活かし、社長の私が一緒に『どうやったらできるのか』を考えました。すると、今までできないと思っていたことができるようになり、皆の自信にも繋がりました」

前職では、社長と会う機会はほとんどなかったという戸舘さん。大手の会社で働いた経験があるからこそできた改革です。加えて、若手育成のために新しい人事の仕組みも取り入れました。

人を育てれば自分も評価される。人事評価制度で技術継承を促す

戸舘さん「製造業では職人さんの熟練の勘に頼りがちですが、若手にその技術を継承していってほしい。そこで、人事評価制度を作ったんです。例えば工場長の人事評価制度には『人を育てる』という項目を設定し、評価のうち最大割合としました。『部下を自分と同じように、もしくは自分以上に仕事ができるように育てれば生産量も増え、自分の業務負担も減って楽になるんだよ』ということを伝えたんです。人に教えようとすれば自分の仕事をよく考えることにも繋がりますしね。

人事評価制度を導入したことで『賃金の見える化』も実現できました。以前は、どうやったら自分の給与がアップするのかという判断基準がなかったのですが、人事評価を通して将来のビジョンが見えるようになりました」

改革にも軋轢なし!利益は賞与として社員に還元

70年近い歴史を持つトダテックのように、老舗企業の文化を変えるのは簡単なことではありませんが、次々と改革を推し進めていった戸舘さん。その過程で苦労したことや、社員との衝突などはなかったのでしょうか。

戸舘さん「ありがたいことに、社員との軋轢はなかったですね。技術の面で話すことも多いですし、信じてもらえているのではないかと思います。本当に社員の皆さんに支えられてきたと感じていますね。会社として利益が出たら社員に還元するのがモットーですので、ここ4年は決算賞与という業績に応じた臨時ボーナスを出しています。業績が悪かったら出ません。いかに業績を上げていくか、というみんなのやる気にも繋がっていますよ」

「現社長になって大きく変わった」社員が語る会社の変化

社長の姿を近くで見てきた社員の一人にお話しを伺いました。入社7年目の営業主任、豊原雄太さんです。前社長の時代から、トダテックに勤めている豊原さんは、代替わりによる変化をどのように感じているのでしょうか。

豊原さん「現社長になってから、いろいろな挑戦がありました。工場の社員も『良い提案をすれば採用されるんだ』と気づき、みんな積極的に意見を出し合うようになりましたね。また、『今月はもう忙しいから、新しい仕事は受けられない』というような”できない発言”は、現社長の想いが浸透するとともになくなっていきました。そうなると売上も増えるし、早く終わらせないと次の仕事ができないから、みんなで作業効率も考えなきゃいけない。プラスの方向に大きく変わりました」

また、社内では以前にも増してコミュニケーションが重要になったといいます。

豊原さん「僕がトダテックに転職した理由は、自社で製品を製造しており、営業と工場が同じ社内でコミュニケーションを取って働けるのがいいと思ったからです。現社長になってからは、仕事の方向性や受注内容が変わったり、現社長の前職との繋がりから、今までにないような大きいスケールのものを製作する機会も増えました。

すると、今まで以上に工場と『どうやればいいか』をじっくり話し合う機会が増えたんです。社長と僕は同い歳なんですが、先頭に立って会社を牽引し、一番努力をしている尊敬できる社長です」

人を育て、ものづくりの現場を牽引するリーダーとして

外国人の技能実習生も受け入れ、しっかりと技術を伝えているというトダテック。人を大切に育て、それが会社の業績にも繋がっていくというのが戸舘さんの理念です。

戸舘さん「素直で、自分を客観視でき、なりたいビジョンを持っている仲間と一緒に働けるといいですね。それがあれば経験は問いません。どの業種もバイタリティがあれば成長できますので、前向きな姿勢で取り組んで欲しいですね。そして社内には、ものづくりの面白さや、完成した時に一緒に涙を流し抱き合って喜べる人がいます。トダテックで働く社員のみんなには、人との繋がりからやりがいを見出していってほしいと願っています」

仲間と知恵を振り絞ってものを生み出す楽しさを感じること。自分たちがつくったものが、顧客の元でしっかり役立っているという喜びを得ること。そうした「ものづくり」の現場を、3代目社長の戸舘さんがしっかりと引き継いでいました。社員の意識を変え、次世代へ技術を繋ぐ。より良い未来へと導いていく心強いリーダーのもとで、さらなる発展を続けるトダテックの今後が楽しみです。

文・くらしごと編集部

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