成約案件インタビュー

【成約事例インタビュー】鳥取・琴浦町で「味」に惚れ込んだパンだから。“いま”に合わせて進化させる事業承継

鳥取県琴浦町にあるパン屋「はな・はな工房」は2023年11月にオープンネーム事業承継「relay(リレイ)」を通して後継者募集をスタートしました。
譲り手の国頭さん自身も、地元人気喫茶店からの事業譲渡を経て開業した「はな・はな工房」は、この度2024年春に新たな夫婦に引き継がれ、週末だけの特別なお店「CAFE&BAKERY mie (ミー)」として再出発しました。
ふわりとした食感とやさしい甘みが特徴の食パンは、以前からの看板商品。そこに見た目も華やかなベーグルや季節の新作が加わり、週末になると町外からも行列ができるほどの人気店となりました。
relayを通じて事業を受け継いだ継ぎ手の今村芳和(いまむらよしかず)さん、法子(のりこ)さんご夫妻に、これまでの歩みとこれからについてお話を伺いました。

承継者: 今村芳和様
聞き手:relay編集部


「この味なら、絶対いけると思った」

ーー(聞き手)relay編集部(以下、略):まず、「はな・はな工房」と出会ったきっかけを教えてください。

(承継者)今村芳和様(以下、敬称略):広島県から妻の地元である鳥取に移住をしていて移住後に何かできることを探している中で、最初はカフェができるような物件を探していたんです。そんな時にrelayで見つけたのが、パン屋の承継案件でした。最初は喫茶店のつもりで見学に行ったんですが、オーナーの国頭さんに出していただいた食パンを食べた瞬間、「この味、絶対売れる」と思ったんです。

――味が決め手だったんですね。

今村芳和:はい。ふわっとしていて、くるみやいちじく入りのパンもとても美味しくて。この味が広まっていないのは、正直もったいないと感じました。妻と2人で「ここでやろう」と即決でした。

――建物についても、少しやりとりがあったそうですね。

今村芳和:そうなんです。もともとこの建物はログハウス調で、改装後は原状復旧が必要という契約内容でした。でも、大家さんに何度も相談して、最終的には「このままの内装で貸し出した方が次の借り手にも良いですよね」と納得していただいて。半年ほどかかりましたが、無事に現状のまま引き継ぐことができました。

募集記事はこちら→https://relay.town/entrustments/hanahanakobo


ご夫婦の前職を活かしたマーケティングで新しい顧客をつかむ

――以前はどんなお仕事をされていたんですか?

今村芳和:私はインポートブランドのセレクトショップ事業部でバイヤーや営業企画を17年ほど。妻はインターネット通販会社で事務職をしていました。今は未経験からお店のロゴやSNS、名刺なども全て妻が作っています。

――SNSの発信がとても丁寧で目を引きました。

今村芳和:ありがとうございます。実はチラシ配布も考えたんですが、インスタのフォロワーが順調に増えていたので、今はほぼインスタ一本です。毎週新作を紹介していると、お客様もそれを楽しみにしてくださって、週末はいつも行列ができています。

――営業スタイルも大きく変えられたんですね。

今村芳和:はい。以前は毎日営業されていたんですが、今は土日だけの週末営業にしています。その方が特別感も出ますし、ブランディングにも合っていると思ったので。パンの種類も毎週少しずつ変えて、来るたびに新しい発見があるようにしています。


三人四脚で試行錯誤の商品開発

――味の引き継ぎや技術面はスムーズでしたか?

今村芳和:とても丁寧に教えていただきました。特に食パンのレシピや焼き方は、ほぼ忠実に再現しています。パン教室などに行って一から学ぶのとは違って、実際に長年培われた味を直接教えてもらえるのは、事業承継ならではの価値だと思います。

食パンは、年配の方にも食べやすい味わいで、今でも「ここの食パンじゃないとたべられないの」といって毎週買いに来てくださる方もいます。引き継げてよかったなと思いますね。


――ベーグルも人気商品のひとつですね。

今村芳和:もともとはそこまで作られていなかったんですが、試作してみたらとても好評で。国頭さんにも見てもらいながら生地の配合を変えたり、粉を変えたりして、地元の方にも好まれるように柔らかめの食感にしています。具材もぎりぎりまでたっぷり詰めて、見た目にも楽しんでもらえるよう工夫しています。


――今後の展望についても教えてください。

今村芳和:ふるさと納税やBASEでの通販にも力を入れたいです。機材を新調すれば、製造効率も上がるはずなので、そこに向けた補助金申請もしています。

――地域との関わりも少しずつ広がってきているようですね。

今村芳和:そうですね。イベントのチラシを配ったり、地域の方の商品を店頭に置いたりと、少しずつ繋がりができてきています。お客様の中には、Uターンや移住された方も多くて、「都会のパンを食べていたけれど、もう買いに行けなくて…」という声をよく聞きます。そんな方たちに、「ここでならまたあの味に出会える」と思ってもらえるような店にしていきたいです。


――最後に、事業承継を通じて得たこと、そしてこれからチャレンジする方へのメッセージをお願いします。

今村芳和:一番大きかったのは、味を含めた“経験そのもの”を引き継げたことですね。技術って、パン教室に通ったりネットで調べたりもできますけど、長年培われてきたリアルな感覚やレシピを、そのまま教えてもらえるのは、やっぱり事業承継ならではの良さだと思います。

それに、県の補助金や金融機関の支援も、承継という枠組みだったからこそスムーズでした。いきなりゼロから始めるのは不安でも、土台があって、味を試せて、オーナーの想いを聞いた上で判断できるというのは、すごく安心材料になります。

もちろん簡単なことばかりではないですが、「引き継ぐ」という選択肢を知っているだけで、起業や転職とはまた違う、新しい道が開けるかもしれません。やりたいことがある人には、事業承継ってすごく面白い選択肢だと思いますよ。

琴浦町で、非日常の空間を提供する「CAFE&BAKERY mie (ミー)」。時代に合わせながら変化し事業承継のバトンが託されたお店がどのように変わるのか?これからを楽しみにしています!

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