北海道えりも町で人気の「あわじ菓子舗」。えりもの宝を未来につなぐ後継者を募集！

北海道南部に位置するえりも町は、札幌から200㎞以上も離れた人口約4千人の街です。基幹産業は漁業が中心ですが、自然減少や町外への流出などで年間100人もの人が減っています。このような環境にありながら、年商2千万円をキープし、町内はもちろん、近隣の街からのお客さんが後を絶たない人気店が「あわじ菓子舗」です。

店主の加藤勇一さんは、高齢を理由に2022年12月末で店を閉める決心を固めましたが、「これまで贔屓にしてくださったお客様を悲しませたくない」との思いから、お店と味を引き継いでくれる方を募集しています。

人口4千人の街で年商2千万円をキープ

あわじ菓子舗は、加藤さんの義母が約50年前にオープンした食堂が前身です。当時は食堂と並行してパンや菓子の製造・販売も行っていました。「本州から腕のいい職人が働きに来ており、私はその方から様々なことを学びました」と、加藤さんは振り返ります。のちにお店の経営が加藤さんに移され、屋号の「淡路（奥様の旧姓）」はそのままに、菓子専門店としてリニューアルしました。

最盛期は年間6万個を手づくり。一番人気の「ロールカステラ」

「ロールカステラ」「パンドーナツ」「どら焼き」が、あわじ菓子舗の人気トップ３。中でもロールカステラは、年間4万8千個も製造するほどの人気です。柔らかい生地と程よい甘さで、素朴な味の中に職人の技術がぎっしりと詰まっています。

パンドーナツは、ふっくらとしたパン生地の中に、こだわりの餡が挟みこまれています。限定販売のため、店頭に並ぶとあっという間に売り切れてしまいます。

加藤さん「以前はロールカステラを年間6万個も作っていました。2022年3月に高齢を理由に従業員が1名退職し、現在は3名で製造しているので、以前のような生産量は確保できなくなりました」

高齢を理由に廃業を決意

通常の菓子作りの他に、法事などがあれば饅頭などの注文も舞い込みます。日曜が定休日ですが、8～9月の間に加藤さんが休めたのは1日だけ。毎日のように朝6時から菓子を作る日々が続きました。一部の商品の製造・販売を月・水・金に限定するなど、営業を続ける努力を模索しましたが、「75歳の体は悲鳴を上げている」と言います。

加藤さん「去年まで体をだましながら仕事を続けてきましたが、長年酷使したせいで足腰が弱ってきました。そのため2022年12月末に店を閉めることを決意しました」

「えりもの宝」の終焉に待ったがかかる

加藤さんから廃業の話を聞いたえりも町商工会の経営指導員は「待った」をかけました。「あわじ菓子舗は、コロナ禍でも売り上げが落ちることがない優良店であり、何よりもその味を求めるお客さんは途切れることがありません。このまま消滅させるのはもったいなさすぎる」と説得にかかりました

加藤さん「私が店主である、あわじ菓子舗は12月末で店を閉めますが、この味を引き継いでくれる方がいるならば店をお任せしたいと思っています。もちろん菓子作りはしっかりとお教えします」

あわじ菓子舗承継の留意点

「お店を承継していただける方は、現行の商品を踏襲し、屋号や電話番号もそのまま使った方がスムーズに引き継げる。材料の仕入れ先も紹介します」と加藤さんは話します。余力があれば、オリジナル商品を開発することや、インターネットで販売することも問題ありません。

年齢は問いませんが、パン職人や洋菓子職人よりも和菓子職人としての経験が求められます。現在の従業員2名（1名は隔日勤務）は、継続勤務を希望しています。

2023年1月31日で「菓子製造業営業許可証」が失効するので、新たな許可証の用意が必要です。機械類は問題なく動きますが、店舗・工場は築30年以上経っているので、シャッターや壁など、ところどころ修繕が必要な箇所もあります。また2階は住居（現在は誰も住んでいない）になっているので、町外からの転居も可能です。

老舗菓子店の味を未来につなぎませんか?

たくさんのファンを持ち、コロナ禍でも安定した経営を続ける「あわじ菓子舗」。えりも町で50年続いた菓子の味を未来に繋げていきませんか。