酒蔵に再び日本酒の香りと新しいアイデアを。山口県周防大島町の川村酒造場が後継者を募集!
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山口県の最東端、瀬戸内海に浮かぶ周防大島。島の大半が山林で、豊かな自然が残る町です。温暖な気候が特徴で、みかん栽培が盛ん。海を望む山の斜面では、穏やかな日差しを浴びて育ったみかんが風に吹かれています。
そんな周防大島に、「東洋男山」「周山」などの銘酒を生んだ造り酒屋があります。島で唯一残る造り酒屋、株式会社川村酒造場です。地酒の名門で地元では名の知れた造り酒屋ですが、約10年前から営業休止中。清酒製造免許と酒類販売免許は当時のまま保持しており、取締役の石津素子さんは、娘の笹野可南子さんとともに、事業を引き継いでくれる後継者を探しています。
県知事賞も受賞する銘酒の蔵元
島と本土を結ぶ大島大橋を渡り、南に向かって車で走ること約5分。小高い山のふもとに、瓦屋根の大きな木造建築が立ち並んでいます。川村酒造場の酒蔵です。敷地には仕込蔵、貯蔵庫、蒸米室、精米所、社宅、ビール倉庫があり、敷地面積は3,000坪ほど。蒸米室からは、日本酒の香りが漂ってきそうです。
蔵は日本伝統の総檜造り。中は広く、当時使っていた機械などもそのまま置かれており、従業員たちが酒造りに励んでいた姿が目に浮かびます。
石津さん「うちが造っていた清酒の銘柄は、『東洋男山』『周山』『延命の滝』です。東洋男山は創業者、周山は父が造りました。販路は地元を中心でしたね」
笹野さん「酒造りで大切な水源は、裏山の神社近くにあります。また、延命の滝は大島にある滝の名称で、その水を汲んできて作った酒に『延命の滝』と名付けられました」
清酒の質は高く評価されており、新酒鑑評会では県知事賞などをはじめとした数々の賞を受賞。地元の人々を中心に、多くの人に愛されました。
石津さん「お米の1粒1粒の顔を見ながら作っていくので、お米がちゃんとお酒になったら達成感があります。また、お客さまから『おいしい』と言ってもらえたり、賞として評価していただいたのも励みになりましたね」
老舗が製造休止へ追い込まれた理由
川村酒造場の創業は明治42年。創業者は石津さんの曽祖父です。お父さまから引き継いで、石津さんは4代目。110年以上の歴史ある蔵元なのです。
石津さん「私はここで生まれ育ち、結婚してこの町を一旦離れました。しかし、夫が若くして交通事故で他界しまして。まだ小さかった子どもたちを連れて実家に帰ってきたんです。それからこの事業を手伝うようになりました」
当時は島内でも日本酒やビールの需要が高く、大規模に事業を行っていたそう。酒造りの責任者である杜氏(とうじ)や従業員を雇い、酒造りに励んでいたと言います。
しかし、時代の変化とともに島での需要は減少。さらに、安価な商品が出回り、若者の日本酒離れも相まって、売り上げは大きく落ち込みました。そして、酒造りの休止に追い込まれます。
石津さん「当時、いくら仕込みの原価が高くても、お酒の価格は高くできなかったんですよね。どこの酒蔵も苦労したと思います。それでも残っている蔵元さんは、杜氏を雇わなくても自分たちで頑張ってお酒を造っていたところです。うちは杜氏さんを雇っていたので、経営者側にお酒を造る技術がなかった。あと数年続けていたら、私が酒造りに携われていたのかもしれませんが、父の介護も重なってしまって休止という決断をしました」
廃業ではなく、休止という道を選んだ石津さん。「いつかまた親族の誰かが酒造りをするかもしれない」という希望も込めて、会社を守ることにしたのです。そのため、使わなくなった酒蔵の老朽化を少しでも食い止めるために、メンテナンスを続けてきました。
笹野さん「無理やり誰かに継いでもらうわけにもいかないし、蔵の維持には費用がかかるので、そろそろ後継者を探そうと母に提案しました。蔵もあって、清酒製造免許と酒類販売免許も残っているので、やはり誰かにお酒を造ってほしいです。この蔵に再び日本酒の香りが漂ってくれることを願っています」
酒造りは小規模に。蔵の活用には新たなアイデアを
お2人は、「株式会社川村酒造場」の商号にはこだわりはないと言います。譲渡するものとしては、酒蔵、そして清酒製造免許と酒類販売免許が引き継ぎ対象となります。
引き継ぐ土地と建物は、事務所と酒蔵部分で、ビール倉庫と社宅は興味があれば相談可能です。ただし、改修は必須だと言います。
笹野さん「ぜひ、酒蔵に来てもらって、実際に酒造りが可能かどうかを見ていただきたいです。また、以前使っていた水源が使えるかは、正直わからない状況です。掃除をしてきれいに保っていはいるのですが、もともと水が少ない水源でもありましたし、井戸を掘ってもよいのかもしれませんね」
製造休止からしばらくたっているため、承継してすぐに醸造することは難しい状況。蔵の改修や、水源の確保などの問題をクリアしなければなりません。
石津さん「小規模に事業をはじめるのが現実的かなと思います。100本程度からはじめてみるとよいかもしれません」
笹野さん「とても広い酒蔵ですが、すべての建物を使う必要はないと思っています。一部を酒蔵にして、他の建物は別の使い方ができますしね。レストランやお店にするのもよいかもしれません。視野を広く、新しいアイデアを取り入れていただきたいです」
周防大島らしさを大切にしてほしい
笹野さん「個人・法人は問いませんが、後継者さんに求めることは『周防大島らしさ』を理解してくれることです。古い歴史のあるものに価値を感じてくれる人が良いですね。承継後、きらびやかな建物などを建てられては困ってしまいます。田舎らしさ、周防大島らしさを理解し、地域に溶け込んでくれる人にバトンをつなげたいです」
日本の古き良きを大切にしつつ、新しいアイデアで日本らしさを守る。そういったビジネスが、川村酒造場に求められているのかもしれません。酒造りに興味があり、伝統的な酒蔵を引き継いでみたいという方は、ぜひ、話を聞いてみてはいかがでしょうか。
事業者情報
商号
| 株式会社 川村酒造場 |
所在地
| 山口県大島郡周防大島町大字小松710-1 |
代表
| 石津素子 |
創業 | 1909年 |
業種
| 清酒製造、卸売、小売 |
募集形態
| 事業譲渡 |
選考フロー
| ヒアリングシートの回答→カジュアル面談→現地面談 |
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