北海道北見市でたった数件しかない貸衣装店！チャペルや美容室、一式を携えた「啓衣裳店」の後継者を募集！

たった15畳の美容室から、地域を代表する衣裳店に

北海道の道東地方。カーリングチーム「ロコソラーレ」で一躍有名となった北見市。東西120kmにまたがる、オホーツク地方最大の都市です。その町の中心部に、地域に愛されるレンタル衣装店「啓衣裳店」があります。ウエディングドレスやタキシードなどのブライダル衣装から、成人式の振袖・卒業式の袴まで種類豊富な衣装を取り揃えています。店舗1Fには白を基調としたチャペルも併設。狭さを感じさせない趣向が凝らされたこのチャペルでは、たくさんのご夫婦が永遠の誓いを交わしています。

木賊（とくさ）さん「はじまりは自宅に増築した、たった15畳のマッチ箱のような小さな部屋から。そこから今日に至るんだから、不思議なものですね」

そう語るのは代表取締役の木賊和子さん。たった1人から始めた美容室から、地域を代表する貸衣装店「啓衣裳店」を生み出した経営者です。貸衣装店である「啓衣裳店」、そしてヘアサロンである「啓美容室」ともに今回事業承継をすることに決めました。

お客様からの言葉...「一生、お付き合いしてくれますか？」

木賊さん「今みたいに、お客様を呼ぶために広告をたくさんかけるっていう時代じゃなかったからね。お嫁さんのお支度をしている最中に、お友達が『私も今度結婚するんですけど支度してくれますか？』なんて依頼されたりして。人が人を、お客様がお客様を連れてきてくれて、なんとか今日までやってこられたんです」

自宅から始まった美容室から、評判が評判を呼び駅前デパートのテナントへ。数えきれないご夫婦の婚礼支度やヘアメイクを一生懸命続けていくうちに、あれよあれよとお客様も、そして木賊さんを支えてくれるスタッフも増えていきました。

一般のヘアメイクとは違い、特別な技術・作法が必要となる婚礼支度。その技術はまさに一級品。北見市のみならず、次第に他の地域からも「啓衣裳店、啓美容室にお願いしたい」と呼び声がかかるようになりました。

木賊さん「今でも忘れられないのが、羅臼のお客様。初めてお客様の紹介で担当させていただいた方で。北見から来たもんだから、“北見さん”なんて呼んでもらってね。その方はお孫さんの代までお支度させていただきました。最後の娘さんのお支度を終えた時、『私たちに嫁支度をする子はもういないけれど、一生お付き合いしてくれますか？』と言っていただいた時には感無量でしたね。私はなんて幸せ者なんだろうって」

人を育てて、自分が育つ

そんな木賊さんが何度も口にするのは、スタッフたちへの思い。

一人ひとり、イチからヘアメイク・着付けの技術を丁寧に指導し、今やほとんど全員が約20年以上勤め上げる大ベテランに。スタッフ一人ひとりと向き合ってきた木賊さんだからこそ、スタッフには強い思いを持っています。

木賊さん「私1人では絶対にここまでできなかった。いつもスタッフさんたちに思うんです、『私はこの子に何を学ばせてもらおうかな？』ってね。人を育てることは、自分を育てることになる。だから私はスタッフのみんなに育ててもらったんです」

どんなに大変な時でも、どこも行かず木賊さんを支え続けたスタッフたち。中には退職した後も、どこにも勤めず啓衣裳店から不定期に仕事の声がかかるのを待っていた人も。だからこそ、今回の事業承継ではスタッフ全員を大切にしてくれる方にお譲りしたいと考えています。

ブライダルがアツくなる地域・道東

地域にたった数カ所しかない貸衣装店である「啓衣裳店」。しかし木賊さんも高齢となり、経営の第一線から離れることを決意しました。

木賊さん「ブライダルやヘアメイクの世界では、流行が命。この歳ですが、スタッフのみんなとInstagramなんかで情報収集したりしてますよ（笑）でもやっぱり、若い人たちの感性や情報の速さにはなかなかついていけないことも増えてきたから、もう世代交代のタイミングなんだなって思ったんです」

勇退後は婚礼支度やお着付けの人材育成に注力したいと考えている木賊さん。若い世代を育てていきながら、若い人の発想で次の時代を切り開いていく手助けをしたいと語ります。ブライダル事業は今、この新型コロナの影響で大きな転換期を迎えています。挙式や披露宴が中心の時代から、ロケーションフォトや映像が中心になりつつあるからです。

木賊さん「道東は自然も多いから、ロケーションフォトには最適なようですよ。いずれにしても、きっとここから新しいブライダルの形が始まるはず。啓衣裳店も、若い世代の力で次のステージに進んでいけたらと思っています」

今回譲渡するのは、5年前にリニューアルしたばかりのチャペルや種類豊富な衣装一式。そして美容室のすべて。必要があれば、経営が落ち着く間は木賊さんは伴走しながらサポートしてもらえるとのこと。

この類まれな技術を携えたお店を引き継ぎ、自然豊かな道東地方で新しいブライダルの形を模索してみませんか？