北海道むかわ町で44年、地元に根付く「昭和鉄工」が後継者を募集！

小さな仕事も引き受ける、地域密着の「昭和鉄工」　

昭和54年創業の「昭和鉄工」は前田國和さんとお兄様の昭徳さんが共同名義で土地を購入して始められた鉄工所です。北海道むかわ町で地域のために44年以上事業を続けてきました。創業時、むかわ町には鉄工所が4件ありましたが現在は「昭和鉄工」含めて2社のみ。

鉄工所では國和さんと昭徳さんがそれぞれ個人事業主として受託した仕事を行なっています。トタン屋根の加工や看板の折り曲げを始め、マンホールの蓋や鉄製の外階段を作ったりもしています。現在は少し体調を崩しており病気の療養を行なっていますが、療養前には高さ5m、広さ50坪の農業用倉庫をほぼ1人で作り上げました。

國和さん「今残っている鉄工所の1つは規模が大きく、私たちは小さな規模で仕事をしているので、ライバルになることはありません。地域の人たちに頼まれた仕事は、単価の安い小さな仕事も引き受けていました。お客様から要望を聞いて、金額が決まれば、一生懸命やるだけです。仕事をもらうことだけでもありがたいので、一生懸命やらないといけないというのは考えるまでもありません」

経営者の紹介　

生まれも育ちもむかわ町である國和さんは現在73歳。高校は隣町の苫小牧市に通い、卒業後に父親の工場で10年働いたのちに、昭徳さんとともに昭和鉄工をはじめました。

國和さん「父親が鉄工所を営んでいたので、私も当たり前のように鉄工所で働きはじめました。仕事が嫌だと思ったことはないです。この年になってみたら他の仕事をやってもよかったのかなと思う時はありますが、現役の時にはそんなことを考えたことは一度もないです」

鉄工所を始めた頃は高度経済成長時代のため、大きな苦労を負わずして継続的に仕事が舞い込んできました。創業してから子どもが生まれ、今では前田さんの誕生日にケーキを用意してくれるまでに成長したそうです。仕事の現役時代には気づかなかったことを子どもが教えてくれるのだとか。

國和さん「私は学生時代に東京でアルバイトをした経験が1年あるぐらいで、鉄工所の社会しか知らなかったので、就職した子どもたちから話を聞いて驚くことがあります。予想以上に高い給料をもらっているんです。現役時代は自分たちで金額を決めていましたが、昔ながらの金額でずっとやり続けていました。時代の流れとともに仕事を受ける金額を上げても良かったのかなと、今となっては経営に関して反省しているところもあります」

土地と鉄工所はお兄様との共同名義ですが、仕事内容は個人事業主で依頼を受けていました。現在もお二人は細々と仕事を受けていますが、譲渡する人が決まれば引退すると決めています。

経営者を募集する理由と後継者への思い　

50年間、昭和鉄工で地域の要望に応える仕事をしていた國和さんは高齢のため、今回の譲渡を決意しました。

また、共同名義である昭徳さんも、今回の譲渡を認知しています。お二人とも譲渡に対しての不安はなく、昭和鉄工を引き継いでくれる人と会えることを願っています。

昭徳さん「今回、事業承継の募集に踏み切った弟に関して何も反対することはありませんでした」

國和さん「この鉄工所は兄貴との共有財産になっているので、2人が元気なうちに整理しておこうと話していました。兄貴も高齢なので、早い時期にいい形で手放せたらと思っています」

現役中は、お客様からのさまざまな要望に応えて商品を作ってきました。今でも工場にはさまざまな機材が揃っています。

國和さん「後継者が同じ鉄工所をやる場合は、契約した日から仕事ができる機械が一式揃っているので、そういう人がいればいいなと。ただし、鉄工所の引き継ぎにこだわっているわけではなく、基本的にはこの土地を譲渡できればいいというスタンスなので、他の事業を考えている人でも構いません」

引き継ぎの条件と要件　

引き継ぎの対象は前田さんとお兄様の共同名義となっている土地・建物と工場内にある物です。

譲渡希望金額は1000万円としていますが、希望する人との状況に合わせて多少相談に乗ることも可能だそうです。

工場内で一番重宝していた、鉄板を一瞬にして切断する機械「シャーリングマシン」も譲渡対象です。ただし、ユニッククレーン車が1台敷地内にありますが、前田さんの個人所有物のため譲渡内容には含まれません。

また鉄工所として問題なく使用できる状態のため、引き続き同じ業種の人に譲渡できるのが一番ですが、敷地の使用用途の制限はありません。

國和さん「例えば土木屋さんの資材置き場にするとか、電気屋さんの作業場にするというのであれば、そのまま工場の建物は全部使えると思います。喫茶店やスポーツジムなど他事業を立ち上げたいという話であれば、全部壊して建て直す必要がありますが、お任せします」

あとを継ぐメリットと課題点

「昭和鉄工」を引き継ぐメリットは、鉄工所の同業であれば環境が整っているので、すぐに製鉄作業を始められることだと言います。

國和さん「同じ鉄工関係の仕事をしたい人であれば大歓迎。機材も全て揃っているので自分が今30代でこんな譲渡要件があれば、『すぐ買う』と思うような工場です」

むかわ町にもう1つある鉄工所との規模は違うので、地域の中でも競争相手にはならずに顧客開拓ができる可能性があると言います。

國和さん「うちは2、3万円という小さな仕事も受けていましたが、相手の工場は引き受けないのではと思います。仕事を受ける金額の桁が違うので、仕事の取り合いにはならないと思いますよ。最終的にはお客様が決めることですけど、仕事がなくて困ったことはありません」

さらに鉄工場は町の一等地でメインストリートにも面しているため、何の事業をやるにしても好条件だと話しています。

課題は、鉄工所と違う事業を検討しているのであれば、更地にする費用が追加で必要な点です。

北海道むかわ町ってこんなところ

むかわ町は北海道の南方部に位置し、北部には日高山脈、南北には全国屈指の清流度を誇る鵡川が流れています。

北海道の中で比較的温暖な地域ですが、冬には最低気温がマイナス20度になることもあります。冬は鵜川河口に氷が張り神秘的な景色が広がります。

國和さん「以前は町内の公園で、11月になるとししゃもが取れていたんです。自然は多いですが意外と利便性も良いので、自分としては最高だと思っています」

また、北海道の文化・経済の中心である札幌市や海の玄関口である苫小牧市、空の玄関口である新千歳空港へのアクセスが良く便利です。

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