凡工芸たくみについて

広島県広島市中区紙屋町にある地元密着型ショッピングセンター「サンモール」の5階に、国内の工芸品や昔懐かしい玩具、和紙、扇子、こけし人形、手ぬぐいといった様々なグッズを取り扱う「凡工芸たくみ」があります。

「凡工芸たくみ」は1972年にサンモールのオープンと共に創業、創業50周年を迎えた老舗店舗です。サンモールの創業から残っている店舗は、「凡工芸たくみ」のみだといい、古くからの常連客を中心に、日本の伝統グッズを求めて連日たくさんの人が訪れています。

長年、お店を切り盛りしていた81歳の後藤綏子（やすこ）さんは現在入院しています。快方に向かっているとのことですが、ご年齢のことを考え、綏子さんに代わり、娘のなおみさんがお店を引き継ぐ後継者を探すことになりました。

今回は、娘のなおみさんにお話を聞いています。

経営者の紹介

なおみさん曰く、綏子さんは昔から民芸品を集めるのが好きだったそうです。

なおみさん「結婚する前から、一人で旅行に行っては民芸品を買っていたと聞いています。いざ、このお店をオープンするとなった際に交流のあった方々にお願いし、仕入先となってもらったそうです。店を始める前から、作家さんとのコミュニケーションを大切にしていたんだと思います」

綏子さんは商品の仕入れにすごくこだわっているといい、お店は一点ものなど、珍しい民芸品も多く揃えています。

なおみさん「長年通ってくださる常連さんを中心に、海外から来たお客様や、学生さんも来てくださいます。海外へホームステイに行く際のお土産としても民芸品は好評だそうです。ウチは広島県内だけではなく全国からグッズを仕入れているので、種類が豊富なんですよ」

綏子さんが長年かけてひとつひとつ集めたさまざまな工芸品は、たくさんのお客様によって世界へ渡っているのです。

後継者を募集する理由と後継者への想い

今回、お店の後継者を探すことになったのは、先述の通り綏子さんのご年齢が理由です。

なおみさん「実は、サンモールが建て替えになるという話が前から出ていて、そのタイミングでお店を閉めようといった話はしていたんです。しかし、建て替えの話はなかなか進みませんでした。そんな時、母が入院をすることになったんです。回復に向かっているとはいえ、リハビリ期間のことなどを考えても、この機会にお店を引き継いでくれる方を探すべきじゃないかと考えました」

綏子さんは80歳を過ぎても、商品の仕入れから経理まで、全て一人で行っていたというから驚きます。

なおみさん「入院するまでは365日毎日働いていて、81歳でも毎日車で通勤していたこともあり、家族としては心配で…。このお店は母の生きがいなので、母の想いごと引き継いでくださる方がいれば嬉しいですね」

引き継ぎの条件と要件

今回は、現在の「凡工芸たくみ」のまま運営を引き継いでくれる後継者の募集になります。屋号や取引先、商品知識が豊富な現在の従業員もそのまま引き継ぐことが可能です。

なおみさん「今の常連さんも、母が作ってきたお店が好きだから通ってくれていると思っています。そのため、母の意志をそのまま引き継いでほしいと希望しています」

お店の商品単価は1,000円から数万円と幅広く、扱う商品も多様です。そのため、「民芸品が好きな方でないと難しい」と、なおみさんは話します。

なおみさん「母は仕入れに相当こだわっているんです。それにお客様も付いてきてくれています。なので、『この商品は儲かるからたくさん仕入れる』といった考えではお店を引き継ぐのは難しいでしょう。民芸品が好きで、常連さんのもことも考えられる方にお任せしたいと考えています」

お店の営業時間はサンモールに準じて10時30分から20時まで。定休日も同様です。

なおみさん「あとは、時々母をお店に入れてもらえたら嬉しいですね。お店は母の生きがいなので、欲を言わせていただけるのであれば、そこもご検討いただきたいと思っています」

あとを継ぐメリットと課題点

「凡工芸たくみ」を引き継ぐメリットは、綏子さんが仕入れた数多くの民芸品をそのまま引き継げる点です。民芸品が好きな方ならうってつけと言えるでしょう。

一方、課題点としては、今後売り上げを伸ばすためにも外国人観光客へのアプローチが必要な点や、キャッシュレス決済などの決済方法の多様化が必要とのこと。

また、今テナントとして入っているサンモールがいつ建て変わるかわからないため、譲り受けた後そのまま今のテナントで事業を始めるか、別のところでやるかは要検討です。

なおみさん「仕入れも含めて、民芸品が好きな方は楽しめると思います。海外の方が風呂敷などをたくさん買っていってくれることもあるのですが、どうやら日本と違う使い方をしているそうです。そういったところも、やっていて面白いと従業員が話していましたね」

海外留学の際にお土産を購入された方が、それから数十年後に海外留学をする自分のお子さまを連れて再来店されたこともあるそうです。また、とある海外の企業で働く人も、日本に研修に来た際は必ずお店に寄ってくれるとか。それだけ、多くの人に愛されるお店ということが伺えます。

なおみさん「そういう場面に立ち会えると嬉しいですよね。従業員は『母の人柄のおかげで常連さんがついた』 といってくれます。本当にありがたいことですね」

50年以上の歴史あるお店は、綏子さんの生きがいでもあります。その歴史と想いを受け継ぎ、未来に残してみませんか？

広島県広島市ってこんなところ

「原爆ドーム」の存在をはじめ、平和都市としての世界的な知名度がある広島市。

海や山などの自然環境に恵まれ、「お好み焼き」といった食文化も有名で、観光地として多くの人々に支持されています。

広島市は広島湾に面しており、比較的温暖で降水量が少ない点も魅力的なエリアです。

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