地元の食材にこだわり、ご夫婦で営む家庭的イタリアン料理店を引き継ぎませんか?
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富山県氷見市の中心部を流れる湊川。河口付近に架かる栄橋から川沿いを歩くと、県外からのお客さんも訪れる人気飲食店や、カラオケの歌声が外まで聞こえるほど賑わうスナックなど、個性豊かなお店が点在します。
春になると、薄ピンク色の桜並木が景観を彩ります。「てんません」と呼ばれる木造和船の遊覧も同時に行われ、湊川は、氷見の自然、文化・歴史に触れられる場所としても親しまれています。
栄橋下からの景色。写真奧が和平橋
栄橋の次に架かる和平橋のすぐそばにあるイタリア料理専門店、ボーノ・ペッシェ。氷見駅からは徒歩圏内の立地で、地域の人はもちろん、市外からも多くのお客さんが訪れる人気店として知られています。
”ボーノ・ペッシェ”(Buono Pesce)は、イタリア語で「美味しい魚」という意味
店主、高木治美さんのご実家を改装した店舗は、住宅の面影が残る、細長い建物が特徴的です。かつては、お店の両隣も住宅でしたが、現在は、正面から見て左側の建物が解体され、駐車場になっています。
“隠れ家”の形容が相応しい、お店の佇まい。ドアを開け、細長い廊下を通ると、右手にキッチン、左手には、ステンドグラスの窓が目をひく食事スペースがあります。
高木さんの「若い世代の料理人にバトンタッチしたい」や「イタリアンを問わず、新しい料理に挑戦して欲しい」という思いから、建物および設備をまとめて引き継ぐひとを募集します。
イタメシブームがきっかけで、お店をオープン
高木さんがイタリア料理に出会ったのは、大阪で暮らしていた頃。当時は、”イタメシブーム”と呼ばれ、カジュアルで手頃な価格のイタリア料理店が流行っていました。お料理の道を志していた高木さんは、ブームをきっかけに、イタリア料理の世界へ足を踏み入れることを決意します。
高木さん「もともとは、違う仕事をしていました。お料理の仕事をしたかったのと、当時はイタメシブームだったこともあって、イタリア料理店で修行しながら、夜間の料理学校へ行って資格を取りました」
その後は、地元の氷見市へUターン。湊川沿いにあった高木さんのご実家を改装して、夫婦二人三脚でお店を始められました。
ボーノ・ペッシェの店主、高木治美さん
高木さん「湊川、大好き!やっぱり、桜の季節は良いですよね。あとは、上日寺や朝日山公園もあるし、散策するのが楽しいです。他にもいろいろなお店があるし、楽しいところだと思う」
イタリアンを氷見に浸透させるまで
1999年7月、お店をオープン。しかし、イタメシブームで沸いた都心部と、日本食が好まれた漁師町の氷見とでは、大きな温度差がありました。
高木さん「お店を始めた頃は、イタリア料理そのものに馴染みがなかったですね。イタリア料理を知らない人すら多かったので、最初の頃は苦戦しました」
夫婦ふたりで営業するため、ファミリーレストランと比べると、スピードの面で劣ってしまいます。昔は、「遅い」とクレームが入ったこともあったそうです。
高木さん「でもやっぱり、お店をしていて嬉しいと思うことは、老若男女、いろいろなお客様から『美味しかったです!』と帰り際におっしゃってくださることですかね」
オープン当初は苦戦されたものの、今では、さまざまな年代層から愛されるようになった理由は、高木さんの”食材”に対するこだわりにありました。
地産地消、食材へのこだわり
高木さん「お料理が美味しければ、お客様は来られますよ。美味しければ」
お客さんがリピーターになってもらえるよう、高木さんは創意工夫を重ね、美味しいお料理を追求してきました。
高木さん「お魚もお野菜も、なるべく地元の食材を使うようにしています。地産地消ですね。特に氷見の食材は、新鮮な状態のまま調理できるので、素材本来の美味しさを活かすことができます。オリーブオイルや塩の味付けだけで、美味しく食べられますよ」
名水ポークロースうす切りと自然農オクラのスパゲッティ
地物たこのラグーと自然農三寸にんじんのスパゲッティ
以前は、漁港へ出向き仕入れをしていましたが、現在は信頼する地元のお魚屋さんにお願いしているという高木さん。今でもお野菜の種類が比較的少ない冬や春は、自ら富山県内を探し回り、良い食材を選んでいます。
高木さん「お野菜も、自然農※をやっている地元の契約農家さんから仕入れていますよ。振り返ると、(仕入れ先の方たちと)信頼関係を積み重ねていくのは、時間がかかりましたね。大変でした」 ※農薬や化学肥料を使わず、自然の力で育てる農法
そのほか、食材だけでなくオリーブオイルにもこだわりが。
高木さん「お野菜、お魚、お肉の食材に合わせて、オリーブオイルを使い分けていますね。最低でも5種類は用意してありますよ。特に魚に対して使う場面が多いので、イタリアの、海に近いところで生産されるオリーブオイルを取り寄せて、ずっと使っています」
高木さんは、仕入れ先の方たちとのコミュニケーションについて、引き継ぐひとの希望があれば積極的にフォローしたいと言います。
引き継ぐ本人のやる気を尊重したい
どのようなひとに引き継いで欲しいか、高木さんに伺いました。
高木さん「たとえば、私と同じように料理店で働いてきて、いずれ自分のお店を開いてみたいと思っているひと。ほかには、都心部でお店を経営されていて、コロナ禍をきっかけに地元の富山県内でお店を開きたいと思っているひと。いずれにせよ”地元の食材を生かすことができるひと”に引き継いでもらいたいと思います」
調理器具・設備は全て揃っているため、お料理の技術があれば、今すぐにでも仕事を始められる環境が整っています。また、プロでなくても、お料理が得意なひとがお店を開いてみようと挑戦するケースも近頃は増えてきました。
高木さん「お料理が上手な方は、今たくさんいらっしゃいますよね。チャレンジ精神旺盛な方も歓迎ですよ。引き継ぎたい方でプロの料理人でない場合は、私が数ヶ月間ほどノウハウを教えてからバトンタッチすることも可能です」
必ずしもイタリア料理を引き継ぐ必要はなく、「本人のやる気や思いを尊重したい」と高木さんは言います。
住宅を改修した店舗のため、2階部分を居住スペースにすることも可能です。高木さんご夫婦も、以前はこちらに住んでいたそう。
ボーノ・ペッシェさんの建物は、職住一体で暮らすことができるため、氷見市へ移住して創業したいと考えている人にもおすすめです。
氷見市では、そのようなひとに向けたサポートが充実しています。氷見での住まい・暮らしに関することは「氷見市IJU(移住)応援センター・みらいエンジン」が、創業や経営に関することは「氷見市ビジネスサポートセンター・Himi-Biz」が、親身になって応援します。
地域とのつながりを大切にして欲しい
最後に、氷見のまちで長くお店を続けていく秘訣を伺いました。
高木さん「やっぱり、”つながり”かな。違う分野の人ともつながって、コミュニケーションを取ったり、自分がスキルアップする工夫をすれば良いと思いますよ。おせっかいと言われてもいいくらい、積極的にアピールしないと!」
氷見は、さまざまな分野のプレーヤーが活躍しており、つながりの接点は多様に存在します。ご夫婦で営まれてきた小さなイタリア料理店を引き継ぎ、まちの魅力とつながることで、新たな価値を創造するひとを、お待ちしています。
文/写真:TomorrowWorks.編集部
住まい・暮らしに関するサポート:氷見市IJU(移住)応援センター・みらいエンジン
創業や経営に関するサポート:氷見市ビジネスサポートセンター・Himi-Biz
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