新潟県出雲崎町で旅行客から地元民に愛され、港町らしい魚料理を活かした割烹旅館を営む「たまきや」が後継者を募集

新潟県のほぼ中央に位置する出雲崎町。日本海に面し、約10kmの海岸線を有しており、江戸時代には3代将軍の徳川家光にタラを献上した歴史を持つ町です。また、天領地として佐渡の金銀荷揚げや北前船の寄港地として栄えた背景も持っています。

そんな出雲崎町で約30年間、旅館業をメインにスーパーマーケットなどの経営を行なってきたのが「たまきや」。今回は、そんな風光明媚な街に根ざした同社が後継者の募集を開始しました。

30年間地元民と旅行客を癒した割烹旅館

たまきやが割烹旅館とスーパーマーケットの経営を始めたのは、30年ほど前から。現社長の中川正和さんの父・正弘さんが創業し、現在に至ります。中川さんは、新潟の和食店や寿司店で修行した後、30歳からたまきやに参画し、料理長兼経営者として運営を行ってきました。

中川さん「夏は旅行のお客さん、冬は登山の方などが宿泊を利用されています。地元の方も宴会や法事など行事ごとで多く使ってくださっていますね。県内各地から来られますが、近くだと長岡市からという方が多いです」

海の幸を活かした料理が特徴

割烹旅館は、10畳の部屋が6部屋と大宴会場、中宴会場という設備。海沿いに佇み、オーシャンビューが楽しめる旅館です。そんな旅館の何よりの特徴は、地元の海の幸を使った料理。和食店などで修行した中川さんがつくる魚料理は絶品なのです。

中川さん「温泉などがない分、料理に力を入れてきました。出雲崎の魚を活かした料理を堪能できるということが、旅館の一番の強みだと思います。宴会などは、料理で選ばれていたのかもしれませんね。

その他にも、立地的な面で夏は海水浴だったり、季節問わず、ゴルフや釣りなどのアクティビティ、出雲崎らしい長屋建築の街並み散策などの拠点としても利用しやすいと思っています」

スーパーマーケットは地元の買い物拠点

旅館業と同じ時期に始めたのが、スーパーマーケット。別の事業者が運営していたところを引き継いで経営を行ってきました。地元民の買い物拠点として愛されたスポットです。承継を考えている中川さんの元には、住民の悲しみの声も届くと言います。

中川さん「地元の方にとっては、気軽に買い物ができるスポットなのでなくなるのは困る、という声が多く聞かれますね。30年近くやってきたので非常にありがたいことです」

自身の独立のために後継者を募集

現在は中川さんと中川さんの奥さん、母親の3名で会社を運営している状態。コロナ禍での打撃や2022年に創業者である父・正弘さんが亡くなったことから、以前より考えていた独立のために動くことになったそうです。

中川さん「ずっとやってきた和食を活かして、自分のお店を持つことになり、旅館とスーパーマーケットを手放すことに決めました。独立自体は、コロナ禍前から考えていましたが、コロナ禍で旅館の運営が厳しくなったり、今年父親が亡くなったことから、独立する決心を固めるのが加速したように思います。

特にコロナ禍は大きくて、これまで行っていた宴会などがほとんどなくなったりしました。また、近年だと法事などで親戚が集まるために、宴会場を貸し切る、みたいなこともあまり見なくなりましたね。そのあたりの世間の動きも相まって、以前から考えていた和食店での独立に踏み切りました」

旅館設備はそのまま承継可能

旅館は駐車場100坪、旅館100坪の計200坪。館内の設備は、まるごと譲渡可能です。調理設備や館内設備を承継できるため、そのまま宿泊業や飲食業を行うこともできる状態。また、料理の材料などを仕入れていた事業者さんにもつなぐことができます。

中川さん「旅館についてはそのまま引き継ぐことができます。仕入れ先などの紹介も可能ですのでご相談ください。スーパーマーケットに関しても同様です。

また、近年では、町外からの移住者が飲食店や民泊施設をやったりする話も聞きますので、他県や県内でも出雲崎以外の方でも壁がなく入っていけると思いますよ。旅館を住居として使用した住居一体でも運営できるので、住む場所も考えなくてもいいかと思います」

どんな事業者でもウェルカム！挑戦にはもってこいの物件

後継者には和食にこだわりがあるかと思いきや、「なんでもいい」と言います。むしろ、異なったフィールドで新しい挑戦をする場所として使ってもらえると嬉しい、と中川さんは語ります。

中川さん「私は和食で勝負してきましたが、引き継いでくれる方は、どんなフィールドでやってきた方でもいいと思っています。洋食でもいいし、飲食ではなくてもいいし。改装して、まったく別のものにしてもらっても問題ないです。

最近では、ワーケーションみたいな働き方や生き方もありますし、ネット環境を整備して、そういう場所や出雲崎の拠点にしてもいいかなって思います。この場所を使って、新しい挑戦ができる方に引き継いでほしいですね」

オーシャンビューが望める旅館と地元民に愛されたスーパーマーケットを使って、新しいステージに登る後継者を求めています。

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